Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Journal Club
オレゴン州の看護婦とソーシャルワーカーが関与した
自殺幇助を要請したホスピス患者
兵庫医科大学消化器内科  谷田 憲俊

Ganzini L, Harvath TA, Jackson A, Goy ER, Miller LL, Delorit MA. Experiences of Oregon nurses and social workers with hospice patients who requested assistance with suicide. N Engl J Med 2002;347:582-588

 米国オレゴン州では、1997年の尊厳死法制定以来、「医師による自殺幇助(以下、自殺幇助)」が合法化された。この研究は、自殺幇助を遂行した患者をホスピス看護師・ソーシャルワーカーの目から分析した。対象は、この法律が適応される全ての施設ホスピスで、オレゴンの50施設、アイダホとワシントン州の1施設ずつが入る。それらホスピスの看護師とソーシャルワーカーの545名に2001年に郵便アンケート調査を行い、自殺幇助を遂行した理由をスタッフはどうとらえたかを質問して、73%から回答を得た。
 スタッフのうち45%が自殺幇助を依頼した患者をケアしたことがある。看護師によると82名が自殺用薬剤を処方され、55名が自殺を遂行し、17名は他病死で10名の死因はわからないと回答した。彼女らの98%は同僚とその件について討論し、77%は院内カンファレンスに提議した。自殺幇助を遂行した理由では、最も多いのは「死にまつわることは自分で決めたい」であり、次いで「死の準備ができている」、「家で死にたい」だった。少ない理由には、「うつ、他の精神的原因」、「社会的支援がない」、「経済的理由」だった。自殺幇助を遂行した患者はしなかった患者に比してスタッフの目から見て患者は何を恐れていたかを挙げてもらったところ、「死にまつわることを自分で決められなくなる」を77%、「自立できなくなる」を62%、「精神的機能が下がる」を49%、「他人のやっかいになる」を36%が挙げていた。一方、「うつ」は23%、「不安」は22%、「死ぬこと」は17%、「痛み」は15%だった。看護師は患者の36%が「他人のやっかいになる」と思って自殺幇助を望んだとしたが、負担になったと考えた家族は11%にすぎなかった。
 自殺幇助はオレゴン全体で1,000の死亡のうち1名弱である。ホスピスで自殺幇助を要請する患者の多くは自立心から望むが、その数は非常に少ない。ホスピスケアの高い質が自殺を望む患者を少なくしていると考えられる。

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