Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Journal Club
乳がん患者さん達に於けるユーモアの機能と
それがもたらす霊的な面や対処への影響
三重大学医学部看護学科  伊奈 p(こう)
Paige Johnson
The use of Humor and its influence on Spirituality and Coping in Breast Cancer Survivors 2002:29:691-695

 今回は雑誌Oncology Nursing Forum Vol.29, No4. 2002(691〜695)の原著「The use of Humor and its influence on Spirituality and Coping in Breast Cancer Survivors」を紹介したい。これはテキサス大学M.Dアンダーソン癌センターの乳がん腫瘍内科部門のナースプラクティショナーであるPaige Johnsonが2000年に行なった研究である。研究の目的はユーモアの機能をケアや快復の点から患者に生じている事を記述することであって、研究の価値は対処技法としてのユーモアである。研究のデザインは記述的研究である。研究の対象は地域に居る自助グループの9名の乳がん患者である。患者の背景は、9人のうち1人が未亡人であり、再発のため治療を受けている者が1名である。手術のみ3名、手術と化学療法3名、手術と放射線治療1名、化学療法から手術そして放射線治療が2名である。半構成的質問紙を用いて、ユーモアの効用を分析した。質問紙は、3つのカテゴリーで構成されていて、1.ユーモアの有り無しと対処 2.ユーモアと看護師 3.ユーモアと霊的なことに関してである。
 結果、ユーモアと対処の有無についてでは、9人の多くは笑ったり泣いたりしたいという体験に気付いていた。そしてユーモアは、良好な対処に結びつくと感じていた。
 ユーモアと看護師についてでは、5人の患者は、ナースがどんな時でもユーモアを持って接してくれていたと言い、4人の患者はナースがユーモアを持って接してくれたか憶えていないと言っていた。患者さん達はナースがユーモアをもって接してくれる事は気持が良いと感じる事を助けることだと信じていた。ユーモアとSpiritualityに関しては、この研究でSpiritualityは個人的な事であるが、患者達のspiritualityとユーモアを通して彼らの生活の意味をみると、ユーモアは、彼等と生活に笑いを持たらすことがわかった。結論として(1)ユーモアは困難でストレスの多い体験に、適応するように働く(2)乳がん患者はユーモアを診断にうまく適応するために使う(3)乳がん患者さんにはユーモアは、人生の目的と意味を見い出すために彼等の霊的な面の一部であると信じている。(4)乳がん患者はナースがユーモアを持って患者に接してくれる事は、信頼と良好な関係を成立させる事を知っている、の4点をキーポイントとしてこの文献は述べている。看護介入上の大切なポイントと思われる。

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