Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.18
Feb 2003

日本緩和医療学会 ニューズレター第18号

Current Insight
「乳癌患者のQOL評価研究のためのガイドライン」の紹介
国立病院四国がんセンター外科  大住 省三
 癌患者の診療に際して、治癒を目指し実際に達成させられればそれに越したことはない。しかし、治癒させるための治療により、大変な精神的、肉体的苦痛を伴う場合も少なくなく問題となることも多い。一方、治癒をあきらめざるを得ない場合、生存期間の延長を目指すことになる。しかし、この場合、生活・生命の質(QOL)がさらに重要な項目となる。
 最近QOLに関心をもち、その重要性を認識している医療関係者は増えてきた。QOLを評価するための方法にはいくつかあるが、最も一般的なのは、QOL調査票と呼ばれるアンケート用紙を用いる方法である。QOL調査を行う場合、QOL調査票を自作しても良いが、調査結果に科学的な意味をもたせるためには既製のQOL調査票を用いるのが最も近道である。しかし、いざQOL調査を行うとなると、具体的にどうすれば良いか知識を有する医療関係者は少なく、また系統的にQOLについて記述されている入門者向けの書物は極めて少ない。
 このような状況を踏まえ、日本乳癌学会ではQOLの研究班(班長:下妻晃二郎先生)が1999年に作られ、3年をかけ、一般医向けのガイドラインの作成を行った。このガイドラインの主たる部分はQOL評価の研究手法、評価方法についての記述と実際に用いられている既製のQOL調査票の詳説および、文献のレビューによる実際の研究でのそれらの用いられ方の調査結果報告の部分である。文献のレビューの調査でわかったことは、質の高い文献で良く用いられていたQOL調査票は8種類程度で、ひとつの研究では2種類の調査票を用いられていることが多かったことである。QOLの調査を考えているが、その知識が不足している研究者には是非、このガイドラインを参考にしていただきたい。
 さらに、同研究班では「がん薬物療法におけるQOL調査票(QOL-ACD)」(いわゆる栗原班調査票)と併用することを前提に、乳癌患者用QOL調査票(QOL-ACD-B)の作成も行なった。興味のある方は参照されたい。

【 文献 】
乳癌患者のQOL評価研究者のためのガイドラインVersion 1.0 日本乳癌学会「乳癌に対するQOL調査・解析のガイドライン作成に関する研究班」および「乳癌に対するQOL調査・解析のガイドライン作成小委員会」編 2002
http://www.jbcs.gr.jp/QOL_Ver1/QOL.html

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