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学会からのお知らせ
市民公開シンポジウム(2005年7月2日開催) Q&A公開
内富先生への質問と回答
質問1 : がんの治療や緩和ケアが、まだ日本全国、どこでも同じように受けられるための提案は?
質問2 : がんと診断されてすぐに亡くなった場合の遺族ケアは?
質問3 : 緩和ケアサポートが癌と分かったときから欲しいのですが。
質問4 : がんで手術を受ける患者さんに対して看護師にのぞむ事は?
質問5 : 緩和ケアや心のケアを受けるにはどうしたらよいのでしょうか?
質問6 : 精神と免疫あるいは発ガンとの関連の研究実績は?
質問7 : 明るくなれないときに、対処法は?

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質問1 : 女性、54歳。
 がんの治療や緩和ケアが、まだ日本全国、どこでも同じように受けられるというものでもなさそうです。今日、先生方がお話くださったようなケアを、どこでも受けられるようにするために、それぞれの立場からご提案があればおっしゃっていただけますか。
内富 : 各地域にがん拠点病院の設置とがん支援地域医療・福祉ネットワークの構築を展開したいと考えています。
質問2 : 男性、45歳。
 家族、遺族の心のケアについてお聞きしたい。私の父はがんと診断されて1ヶ月足らずで亡くなり、残された家族は心の整理がなかなか上手くつきませんでした。私はうつ状態が長く残ってしまいました。多くのがんでは闘病期間がある程度長くあるので、心の整理がつくのでしょうか。
内富 : とても性急な病気の経過ですので、喪失の衝撃は、交通事故のように大きいはずです。不眠や食思不振、集中困難、不快な場面を思い出して動悸がしたり、息苦しくなったり、故人を思い出して暫し思いがさまよったり、また回避的になったりして、大変な時期を過ごされていると拝察いたします。病気の経過が緩やかな場合では、多くの方は1年をめどに少しづつ生活を立て直されます。いろいろな思いはめぐり完全ではないのですが、年月を重ねて整理をつけられます。しかしこれはあくまでも目安です。性急に、完全に心を整理することを求めるとかえって負担になりますのでご自分のペースであせらず月日を重ねられるとよいでしょう。
質問3 : 女性、40代。
 家族を癌で亡くし、闘病中にリエゾンを体験しました。緩和ケアサポートが癌と分かったときから欲しいと思っています。お話の中で、心のケアをする人としてご家族、友人、担当医をあげられておられますが、リエゾンの必要性はございませんか?又、千葉県がんセンターでは「患者さん相談窓口と医療地域医療連携室」を一つの場に設けて、患者さんとご家族への治療時からの緩和ケアを提供しています。私はこのような場がすべての病院に必要だと感じていますが、いかがでしょうか?
内富 : まったくその通りだと思います。メンタルケアのリエゾン(連携)は、精神科医、臨床心理士、リエゾン精神看護師などが積極的に展開を始めていますが、すべての施設に常駐するのが理想だと考えています。これを目標にして、人材育成にも励んでおります。
質問4 : 女性、31歳。
 悪性腫瘍を指摘され、手術を受ける患者さんに対しての看護師にのぞむ事はどんなものがありますか?術前、術後の訪問につなげていきたいので、患者さんの心理について知りたい。
内富 : 手術前には、がんそのものよりも手術や麻酔そのものへの不安が高まります。麻酔中は他人に自らを絶対的に預ける経験となりますので、手術を担当される麻酔科医や手術を担当する看護師の訪問は、恐怖を和らげ、手術や麻酔への理解を助け気持ちの整理につなげることができるでしょう。手術を無事におえ、一区切りついた後には医療者に加え周囲の同室者や同病者に支えられて少し過剰な支援環境におかれますので、一般的には不安は抑えられます。しかし、退院後ひとり自宅にいると大海に放り出された感覚に陥いり、不安になる方が少なくなく、独りぼっちに感じ、がん患者として疎外感や孤独感を痛感される方がおられます。心理的危機はむしろこの時期に訪れますので、退院後に医療者だけでなく同じ病気の方との接点を維持する目的で患者会やサポートグループに参加されるのも良いでしょう。概ね、退院後の不安などのストレスは一年が目安ですので、患者さんの意向を踏まえた上で、意識して病気をよく知る医療者や患者団体と接点を多く作るよう、アドバイスするのも良いでしょう。
質問5 : 女性、70歳。
 緩和ケアや心のケアを受けるにはどうしたらよいのでしょうか。内富先生が、インターネットで緩和医療、ホスピス、総合病院精神医学会などで検索してみることを提案しておられたように記憶しております。
女性、64歳。
 サイコオンコロジーの専門家がいる病院に通院していますが、どのようにしたらサイコオンコロジーの専門家にみていただけるのでしょうか。
女性、55歳。
 とても勉強になりました。ところで、サイコオンコロジーの専門家がいる病院を捜すにはどうすればよいのでしょうか。
内富 : 国立がんセンターのホームページや日本総合病院精神医学会のホームページが参考になるでしょう。インターネットに不慣れな場合は、まず、担当医、看護師に尋ねてみましょう。病院相談窓口に相談されることもお勧めいたします。各施設の医事課職員やソーシャルワーカーが担当しますが、患者さんのご希望に沿った最適の施設を紹介されるでしょう。
質問6 : 女性、32歳。
 笑いが免疫力を高めるとか、明るく前向きに考えた方が免疫力が高まるとか、世間では心のありようと免疫力とがんになりやすさとの関連が話題になりますが、精神と免疫あるいは発ガンとの関連はどのくらい研究されているのでしょうか。
女性、27歳。
 前向きに考えることが免疫力をあげるとか、笑いがNK細胞を活性化する、などといわれますが、とても明るい気分になれない人たちはかえってこのことがプレッシャーになって苦しんでいるようです。家族や知人としてはどのように接すればよいのでしょうか。
内富 : これまでのところ、明るい態度や性格が発がんやがんの進展について明らかに関連があるとする科学的根拠は十分には得られておりません。したがって、現時点では無理に自分を追い込むことなく自分らしく健康な生活を維持することを心がけ、ただしうつ病など落ち込みすぎだけには十分注意しましょう。時に、自分はもともと明るくないからがんになったんだ、がんが再発したんだと思われる方がおられますが、この点について明らかな科学的根拠はありません。したがって、自分のせいでがんになったなどとご自身を責めるような考えは持たないようにしましょう。
質問7 : 女性、27歳。
 医師に「明るく前向きに」といわれて、でもそうなれないのでよけいに落ち込むという患者さんの話をときどき聞きますが、明るくなれないときに、自分ではどのように対処したらよいのでしょうか。
内富 : 落ち込んだときに軽い気晴らしや周囲からの励ましなどで回復するときはまだよいのですが、それが無効でかえって落ち込んで2週間以上続くときには担当医などに相談しましょう。専門医などの受診を含めアドバイスを受けるよう努めましょう。
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