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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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6章 文献的検討の要約
2 生命倫理学的検討
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他のガイドラインの要約
1. EAPC(the European Association for Palliative Care)のガイドライン
 EAPCのガイドラインでは,苦痛緩和のための鎮静をPalliative Sedation Therapyと位置づけ,鎮静薬を用いて患者の意識を低下させることにより,緩和困難な症状による耐え難い苦痛を緩和することをさすと定義している。また,そのためには適切な薬剤を症状が改善するように注意深く投与量を調整する必要があるとしている。鎮静薬の開始量は,患者がコミュニケーションを保てるように少ない量から開始するのが良いとし,患者をケアしているチームは,症状が緩和困難であることの判断が,適切に行われるだけの経験をもった専門家であることが良いとしている。また,緩和ケアの専門家からのアドバイスが鎮静を開始する前にあることが望ましいとし,深い持続的鎮静の場合には,病状は回復不能で進行性であり,数時間か数日で命の問題になると考えられる場合に検討するのが良いとしている。第一選択薬としてはミダゾラムを推奨している。輸液を控えるか,中止するかの判断は,鎮静とは別に検討するのが良いとし,輸液は益が害を上回るときのみに支持されるであろうと示している。そして,鎮静は安楽死と以下の点において区別されるとしている。①鎮静は苦痛緩和を意図として行われる,②鎮静はその状況において最も釣り合った介入方法である,③患者の死は鎮静がうまく行われた結果で起こるものではない。
 そのうえで,鎮静とその効果は注意深く調節され,評価されるのが良いとしている(de Graeff 2007)。

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