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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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6章 文献的検討の要約
1 医学的検討
8
スタッフのストレス
 鎮静施行における看護師の負担については,わが国の3,187名の看護師を対象とした,質問紙調査が行われている(Morita 2004b)。
 82%の看護師では深い持続的鎮静を臨床上経験していた。30%の看護師は,鎮静に関する負担により,現在の仕事を辞めたいと思っていると答えていた。また,12%の看護師で鎮静に関与することは負担だと述べており,12%では患者が鎮静を受けるとき無力感を感じており,11%では可能ならその施行しなければならない場に立ち会いたくないと考えており,4%では無力感を感じると述べていた。負担になると感じていた看護師は,①臨床経験が短い,②患者に関わる時間が少ないと感じている,③医師と看護師との間での鎮静に関する共通理解がない,④有効なチームカンファレンスが行われていない,⑤患者と家族との間の鎮静に関する希望についての葛藤をよく経験している,⑥自己の能力の不十分さを感じている,⑦緩和困難な苦痛の評価は難しいと考えている,⑧鎮静は死を早めると考えている,⑨鎮静は安楽死と区別することが倫理的に難しいと考えている,⑩自分の抱く悲嘆に対処できないと感じている,⑪鎮静に関する矛盾した個人間の価値観,と有意に関連していた。今後必要となる方策としては,①労働過剰を緩和するマネジメントを進める,②対立する意見,特に医師と看護師の意見の対立を解決するチームアプローチを行う,③患者と家族の希望を明確にするための話し合いの時間をできるだけ早くにもつ,④個人間の技術や緩和困難な症状を診断するための方法を見つける,鎮静による生命に対する影響をできるだけ最小にする,鎮静と安楽死についての相違に関する倫理原則を教育する,⑤患者中心の原則に沿った看護師の個人的な価値観を探る,などのことを進めていく必要があると考えられた,としている。

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