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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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6章 文献的検討の要約
1 医学的検討
7
家族へのケア
 わが国の鎮静を受けた患者の遺族を対象とした多施設研究では,78%の遺族は鎮静に満足していたが,25%は強い精神的苦痛を体験していた(Morita 2004d)。家族の低い満足感に関係していた要因は,①鎮静後に苦痛が十分緩和されなかったこと,②情報提供が不十分であったこと,③鎮静が生命予後を短縮すると感じたこと,④鎮静以外に苦痛を緩和する手段があると感じたことであった。家族の精神的つらさに関係していた要因は,①鎮静後に苦痛が十分緩和されなかったこと,②意思決定の責任を負うことが負担に感じられたこと,③患者の状態の変化に心構えができていなかったこと,④医師や看護師に気持ちを十分にくみ取ってもらえないと感じたことであった。
 以上より,鎮静を受ける患者の家族のケアとして,①鎮静開始後に治療効果を定期的に評価し,治療目的が達成されるよう迅速に修正を行うこと,②十分な情報提供,特に,ほかの手段について十分に検討し施行したが有効ではないこと,さらに,鎮静によって生命が短縮する可能性は一般的に少ないことを説明すること,③意思決定過程を共有し家族に決定を一方的にゆだねることはしないこと,および,④家族の心配や不安を傾聴し,悲嘆や身体的・精神的負担に対する十分な支援を行うことが推奨される。

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