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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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5章 推奨と委員会合意
3 治療とケアの実際
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鎮静の開始後のケア
1. 鎮静の開始後の評価
苦痛の程度,意識水準,鎮静による有害事象,および,鎮静以外の方法で苦痛が緩和される可能性,病態,家族の希望の変化について,定期的に評価する。
苦痛が緩和され,かつ,意識の低下,有害事象が最も少なくなるように投与量を漸増,漸減する。
評価項目は以下の通りである。
・苦痛の程度:
苦痛の言語的訴え,表情,体動をもとに評価する。
・意識水準:
日常的な看護ケアの範囲内での言語的刺激に対する反応,身体的刺激に対する反応をもとに評価する。意識水準の評価のために痛覚刺激を加える必要はない。
・有害事象:
精神症状(せん妄など),呼吸抑制(呼吸数,呼吸パターンの急激な変化など),舌根沈下,誤嚥,循環抑制について評価する。
・鎮静以外の苦痛緩和の手段,病態,家族の希望。
評価回数は,目標とする鎮静が達成されていない状態では20分間に1回以上,目標とする鎮静が達成されている状態では1日に3回以上とする。
2. 看護ケア
 鎮静開始前と同じように,誠実に,患者の尊厳に配慮して,声掛けや環境整備などのケアを行う。不快な症状の出現を注意深く観察し,鎮静効果の評価を患者・家族とともに話し合う。口腔・眼のケア,清拭,排泄,褥瘡ケアに関しては,患者・家族の意思,および,治療目的(苦痛緩和)からみた患者の益と害を判断の規準として行う。
3. 家族に対するケア
 家族の心配や不安を傾聴し,悲嘆や身体的・精神的負担(鎮静決定後の心の揺れなど)に対する支援を行う。特に,家族が患者のためにできること(そばにいる,声をかける,手足にやさしくふれる,好きだった音楽を流すなど)をともに考える。
 経過に従って必要とされる情報(患者の状態,苦痛の程度,予測される変化など)を十分に提供する。特に,ほかの手段について十分に検討し施行したが有効ではないこと,鎮静によって生命が短縮する可能性は一般的に少ないこと,鎮静を浅くする(中止する)ことも可能であることを保証する。
[コミュニケーションの例](鎮静を受けている患者の家族へのケア)
● 家族がどんな気持ちでいるのかを聞く
 「すやすやと休まれているようです。付き添われていて,何かご心配なことやこうしてあげられたらと思われていることはありますか?」
4. 医療スタッフに対するケア
 患者のケアに関わっているすべての医療スタッフの精神的負担に配慮し,必要に応じて情報の共有やカンファレンスを行う。

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