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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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5章 推奨と委員会合意
2 要 件
 深い持続的鎮静を行う要件を以下のように定める。
 A,B,Cはそれぞれ,医療者の意図,自律性原則,相応性原則(principle of proportionality)に基づく倫理的基盤を与える。Dは鎮静の安全性を高める。
A. 医療者の意図
1)医療チームが鎮静を行う意図が苦痛緩和であることを理解している。
2)鎮静を行う意図(苦痛緩和)からみて相応の薬剤,投与量,投与方法が選択されている。
B. 患者・家族の意思〔1)かつ2)〕
1)患者
①意思決定能力がある場合
益と害について必要な情報を提供されたうえでの,苦痛緩和に必要な鎮静を希望する明確な意思表示がある。
②意思決定能力がないとみなされた場合
患者の価値観や以前の意思表示に照らして,患者が苦痛緩和に必要な鎮静を希望することが十分に推測できる。
2)(家族がいる場合には)家族の同意がある。
C. 相応性
苦痛緩和を目指す諸選択肢のなかで,鎮静が相対的に最善と判断される。すなわち,より具体的には,
1)耐え難い苦痛があると判断される。
2)苦痛は,医療チームにより治療抵抗性と判断される(ほかに苦痛緩和の方法がない)。
3)1)2)の条件を満たす状況になり得るのは,通常,原疾患の増悪のために,数日から2〜3週間以内に死亡が生じると予測される場合である。
D. 安全性
1)医療チームの合意がある。多職種が同席するカンファレンスを行うことが望ましい。
2)意思決定能力,苦痛の治療抵抗性,および,予測される患者の予後について判断が困難な場合には,適切な専門家(緩和医療専門医,精神腫瘍医,精神科医,心療内科医,麻酔科医〔ペインクリニック医〕,腫瘍専門医,専門看護師など)にコンサルテーションすることが望ましい。
3)鎮静を行った医学的根拠,意思決定過程,鎮静薬の投与量・投与方法などを診療記録に記載する。

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