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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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2章 開発過程
1 開発過程
 ここではまず,2005 年版ガイドラインの開発過程を示す。
2005 年版ガイドラインでは,系統的文献検索,および,国内外の既存のガイドラインをもとに,当該班の「鎮静ガイドライン草案作成小委員会」が草案を作成し,「鎮静ガイドライン作成委員会」がデルファイ法によって妥当性を審議し,暫定稿を作成した。さらに,外部委員,エンドユーザー,および,患者遺族の評価を得たあとに,再びデルファイ法による審議を行い,緩和医学専門誌のpeer−reviewを得て,最終の2005年版を作成した。最後に,委員の所属する診療機関における患者を対象として実施の可能性を確認した。
次に,本ガイドラインの開発過程を示す。
まず,2005年版ガイドラインをもとに,全国の緩和ケアチームを対象にガイドラインに対する質問紙調査を行い,それをもとに「鎮静ガイドライン改訂作業部会」が草案を作成した。そのうえで,「鎮静ガイドライン改訂作業部会評価(デルファイ)委員」が2回のデルファイ法によって妥当性を審議し,これを暫定稿として日本緩和医療学会理事会が承認したものが本ガイドラインである。
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見直しのポイント
 ガイドライン2010年版とガイドライン2005年版の主な違いを以下にまとめる。
1. ガイドラインの適応と利用者の拡大
 2005年版を利用した緩和ケアチームに対する質問紙調査の結果に従い,鎮静ガイドライン改訂作業部会での議論に基づいて,本ガイドラインの適応に「緩和ケアチームもしくは緩和ケアに習熟した医師の診療・助言のもとで診療を行っている医療チームを本ガイドラインの使用者とする」という項目を付け加えた。この変更に伴い,多くの臨床医・医療従事者が利用できるよう意図して,ガイドライン本文内容を変更した。
2. 「生命倫理学的基盤」の見直し
 「生命倫理学的基盤」の項を見直し,「倫理学的妥当性」として改め,その内容について可能な限り明確に述べる表現とした。
  1. 鎮静がもたらす益(benefits)と害(harms)について定義した。
  2. 相応性(proportionality)について見直しを行った。苦痛緩和を目指す諸選択肢のなかで,鎮静が相対的に最善と評価される倫理的要件を明記した。また,より好ましい手法を示した。
  3. 鎮静が予後を短縮する効果を伴う場合について,委員会の見解を示した。
3. 鎮静において使用される薬剤
 鎮静に用いられる薬剤についての記載を変更した。これまでの報告により,第一選択薬としてはミダゾラムのみを推奨した。第一選択薬であるミダゾラムが有効でない場合のほかの薬剤として,クロルプロマジンとレボメプロマジンを削除し,プロポフォールを加えた。また,在宅での対応として,坐剤により使用できる薬剤を加えた。
4. 鎮静の定義と方法について
 鎮静の種類(持続的鎮静,間欠的鎮静,深い鎮静,浅い鎮静)ごとに,具体的な鎮静の方法を新たに記載した。また,薬剤選択についての表を新たに作成した。
5. 治療抵抗性判断のためのチェックリストについて
 2005年版を利用した緩和ケアチームに対する質問紙調査の結果に従い,治療抵抗性の苦痛を判断するためのツールとして,「治療抵抗性判断のためのチェックリスト」を作成した。
6. 鎮静の説明文書(例)について
 2005年版を利用した緩和ケアチームに対する質問紙調査の結果に従い,鎮静について説明するための文書例「患者・家族に行う鎮静についての説明文書(例)」を追加した。
7. フローチャートについて
 鎮静施行に関するアルゴリズムについて,フローチャートとして間欠的・浅い鎮静から持続的・深い鎮静への移行過程を詳細に示した。対応する本文のページをフローチャートに記載した。

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