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苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン(2010年版)

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1章 はじめに
2 適応の注意
1
 以下の要件のいずれかを満たす,治癒を見込むことができない成人のがん患者とその家族を対象として想定する。
(1)緩和ケア病棟に入院している
(2)緩和ケアチームの診療を受けている
(3)緩和ケアチーム,もしくは緩和ケアに習熟した医師の診療・助言のもとで診療を受けている
2
効果の指標
 生・生の最後・死の質(quality of life, dying and death)を効果の指標とする。何が生・生の最後・死の質を決定するかは,患者・家族の価値観によって異なるため,画一的には決定できないが,多くの患者・家族にとって,生・生の最後・死の質の重要な要素となるのは,身体的苦痛の緩和,精神的穏やかさ,人生の意味や価値を感じられること,家族との関係を強めること,死に対する心構えができること,心残りがないことなどである。
3
使用者
 緩和ケア病棟や緩和ケアチーム,あるいは,緩和ケアチームもしくは緩和ケアに習熟した医師の診療・助言のもとで診療を行っている医療チームを本ガイドラインの使用者とする。
4
個別性と人間性の尊重
 本ガイドラインは,ガイドラインに従った画一的なケアを勧めるものではない。ガイドラインは臨床的,学問的に満たすべき一般的な水準を定めているが,個々の患者への適用は,対象となる患者の個別性に十分配慮し,医療チームが責任をもって決定するべきものである。
 また,本ガイドラインの適用にあたっては,ガイドラインの各項目を満たすかどうかを判断することだけが医療チームの役割ではないことを十分に認識する必要がある。ガイドラインの項目を十分に検討することを通じて,患者・家族と理解を深め合い,ともに困難な過程を分かち合うことが重要である。
 本ガイドラインでは鎮静に限定した内容のみを表記している。しかし実際の適用にあたっては,鎮静だけを議論することは適切ではなく,患者・家族の人生や生活全体に及ぶ配慮が必要である。
5
定期的な再検討の必要性
 2012年度末までに再検討をする(改訂責任者:日本緩和医療学会理事長)。
6
 本ガイドラインの内容については日本緩和医療学会理事会が責任をもつが,個々の患者への適用に関しては患者を直接担当する医師が責任をもつ。
7
利害関係
 本ガイドラインの作成にかかる費用は,日本緩和医療学会のガイドライン作成委員会より拠出された。本ガイドライン作成のどの段階においても,ガイドラインで扱われている薬剤の販売会社など利害関係を生じ得る団体からの資金提供は受けていない。また,ガイドラインに参加した委員は,扱われている薬剤の販売会社など利害関係を生じ得る団体との関係をもたない。

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