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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
8 薬物療法以外の疼痛治療法
3
経皮的椎体形成術(骨セメント)
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 海外、国内を問わず、悪性腫瘍症例に対する椎体形成術は、骨粗しょう症に混じる形で実臨床として行われた結果についての後向き集計による報告のみであり、前向き研究として行われたのは本邦で行われた前述のJIVRSG-0202だけである。よって、ここではその結果の概要を示す。
 本試験は、有痛性椎体悪性腫瘍に対する経皮的椎体形成術の安全性ならびに臨床的有効性の評価を目的として、primary endpointを安全性の評価、secondary endpointsを臨床的有効性の評価、有害事象の発現頻度・程度として行われた第Ⅰ/Ⅱ相試験であり、国内10施設より症例33例が登録された。登録例の内訳は、男性16、女性17、平均年齢62歳、PS0が1例、PS1が2例、PS2が12例、PS3が13例、原発巣は肺がん7例、乳がん7例、大腸がん7例、肝臓がん4例、骨髄腫3例、膵臓がん2例、舌がん1例、食道がん1例、皮膚がん1例であり、治療椎体数は42椎体で、その内訳は、胸椎19例、腰椎23例、溶骨性35例、混合性5例、造骨性2例、平均椎体圧潰率75.8%であった。
 結果として、原疾患の進行による30日以内死亡2例を除き、NCI-CTC Grade4以上の有害事象発現はなく、Grade3の穿刺部からの出血(用手圧迫により止血)、Grade2の低アルブミン血症が認められたのみであった。手技の完遂率は100%で、有効率は1週間目の測定において、著効:VAS値が0−2となる、または治療前より5以上低下、有効:VAS値の低下が2以上5未満、無効:上記以外の場合とする判定規準にて、著効20例(61%)、有効3例(9%)、無効10例(30%)、有効率70%(95% CI:51〜84%)であり、疼痛緩和までの期間は、平均2.4日(SD:3.2日)、中央値1日であった。ちなみに、治療後4週目の効果は、著効73%、有効12%、無効15%、有効率83%とさらに上昇していた。また、対象例の生存期間中央値は194日(SD:240日)であった。
 以上の結果より、 JIVROSG-0202試験では、「有痛性椎体悪性腫瘍に対する経皮的椎体形成術は許容される安全性と実行性、70%程度の有効率を有し、かつ効果発現までの期間が1日程度と極めて短く有効な治療法である」と結論している。なお、文献的には、有害事象として、痛みの悪化、軽度の発熱、神経根の症状悪化、軽度の心機能低下などの軽度なものが10%程度に、また肺塞栓症、アナフィラキシーショック、脊髄圧迫による永久的脊髄障害、死亡などの重篤なものが1%以下ながら報告されている。

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