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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
8 薬物療法以外の疼痛治療法
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経皮的椎体形成術(骨セメント)
3
手技の概要
 従来、整形外科で使用される骨セメント製剤が用いられていたが、2009年12月に本治療用の製剤であるSpinePlexが本邦で薬事承認された。椎体骨の穿刺には骨生検針が使用され、X線透視あるいはCT誘導下に穿刺針を刺入する。注入された骨セメントの椎骨外への漏出を防ぐため、中部胸椎〜腰椎では横突起を介して刺入する方法が一般的である。穿刺針先端の位置についても、同様に骨セメントの漏出、特に脊柱管内への漏出を防ぐため、椎体骨の前1/3付近が適切とされている。ただし、腫瘍による骨破壊部位に骨セメントを注入することが重要であるため、骨破壊部位の局在により最適とされる位置は変更される場合がある。また、十分な骨セメント製剤の注入を行うため左右両側から2本の針を穿刺する場合もある。しかし、注入される骨セメント製剤の量と効果とは必ずしも一致せず、腫瘍による疼痛治療が目的の場合には1本で施行される場合が多い。
 骨セメントの注入は、X線透視あるいはCT透視下に骨セメント製剤の広がりを確認しながら、用手あるいは専用の器具を用いて行われる(図4)。目的とする部位への骨セメント製剤の注入が完了したことをX 線透視あるいはCTにて確認した段階で、穿刺針を抜針する。抜針後は2時間程度のベッド上安静の後、術前の安静度まで復帰し、翌朝からは鎮痛効果の度合いに合わせ活動範囲を拡大する。椎体形成術自体による痛みは一般に軽微であり、穿刺部の局所麻酔と必要に応じて軽い鎮痛薬を使用のみで十分である。しかし、手技中は原則として腹臥位を維持する必要があり、手技中の体位維持が問題となる場合には、全身的な鎮静や麻酔も考慮される必要がある。技術的な難しさにもよるが、1椎体骨に要する時間は概ね30〜40分程度であるため、複数部位の椎体形成術を一期的に行うことも可能である。しかしその分、同一体位を維持する時間が延長するため、局所麻酔のみで 4椎体以上を同時に治療することは容易でない。
図4 椎体に刺入された穿刺針(左:CT)と注入された骨セメント(右:単純X線)
図4 椎体に刺入された穿刺針(左:CT)と注入された骨セメント(右:単純X 線)

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