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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
8 薬物療法以外の疼痛治療法
3
経皮的椎体形成術(骨セメント)
2
 明確なエビデンスをもって緩和ケアにおける椎体形成術の適応を示す資料はない。ここでは、日本腫瘍IVR研究グループで行われた臨床試験(JIVROSG-0201)の結果から、現時点における臨床現場での判断に役立てることが可能なものを抜粋して示す。以下の5項目すべてを満足する場合が、椎体形成術の適応と考えられる。
(1)椎体の腫瘍性病変による体動時疼痛
 体動時に出現あるいは増強する痛みで、その原因が椎体骨の脆弱化に起因すると考えられるもの。現時点で、放射線照射や薬物療法などの既存の治療法に先行して行うことを妥当とするエビデンスはないが、荷重により椎体骨の破壊が進む可能性が強い場合、骨折の危険性から運動制限が必要な状況下では、先行しての施行を考慮することは許容されると考えられる。なお、活動性炎症(結核性椎体炎、感染性椎体炎)は否定されている必要がある。
(2)腫瘍が脊柱管に大きく露出していない
 骨セメント製剤の脊柱管への漏出の危険性を回避するため、脊柱管との境界を形成する椎体後壁が概ね維持されていることが望ましい。ただし、骨セメント製剤漏出の危険性については技術的な要因が大きいため、最終的な判断は個々の症例の状況や術者の判断に委ねざるをえない。
(3)著しい出血傾向がない
(4)解剖学的に穿刺針の刺入が可能
 上部胸椎〜頸椎は技術的難易度が増し、相対的にリスクも高くなるため適応は慎重に判断する必要がある。また、圧迫骨折による椎体骨の扁平化が高度な場合は、穿刺針の刺入が難しい場合がある。
(5)処置に要す体位の保持が可能
 多くは腹臥位で施行される。麻酔などの全身的な管理により可能であれば問題ない。

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