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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
8 薬物療法以外の疼痛治療法
2
神経ブロック
1
神経ブロックとは
 がん疼痛治療の基本はWHO方式がん疼痛治療法による薬物療法である。しかし、欧米、本邦のガイドラインのいくつかにも示されているように、適応を選べば神経ブロックが疼痛治療法として選択されることにより良好な鎮痛効果が得られる場合がある。神経ブロックが適応となるがん疼痛の病態・背景、適応は表1、2のとおりである。
 神経ブロックとは、「脳脊髄神経や脳脊髄神経節または交感神経節およびそれらの形成する神経叢に向かってブロック針を刺入し、直接、またはその近傍に局所麻酔薬または神経破壊薬を注入して、神経の伝達機能を一時的または永久的に遮断する方法」と定義される。現在では、高周波熱凝固による神経破壊も含まれ、さらに硬膜外腔やくも膜下腔へ麻薬や他の鎮痛薬を注入する方法(硬膜外ブロック、持続くも膜下オピオイド注入)も神経ブロックと手技が同じであることから、神経ブロックに含めるのが通常である。
 神経ブロックの適応を判断でき、技術的に施行可能な人材があれば、適切な時期に神経ブロックを行うことは極めて有効な鎮痛法で、早期から施行すべきであり、決して最後の手段ではない。ただし出血傾向や全身的感染症がある場合には施行できないことがある。
表1 神経ブロックの適応となる病態・背景
1)
大量のオピオイドの全身投与では鎮痛効果が得られない時
2)
オピオイドなどの鎮痛薬や鎮痛補助薬が副作用のために使用できない場合
3)
分節遮断(segmental block)や末梢神経ブロック、神経根ブロックが可能な限局した痛みで、神経ブロックにより鎮痛効果が得られると考えられる場合
4)
ときにオピオイド使用量があまりに多く、経済的効果を考慮せざるを得ない場合
表2 神経ブロックの適応となる痛み
1)
膵臓がんなど上腹部腹腔内臓器による腹痛、背部痛などの内臓痛
2)
直腸、前立腺、子宮頸部などの骨盤内臓器による内臓痛
3)
骨転移に伴う体動時痛
4)
筋攣縮(こむら返りなどの筋けいれん)の痛み
5)
神経障害性疼痛
6)
消化管蠕動に伴う痛み
7)
入浴により緩和する痛み(交感神経ブロックが適応)

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