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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
5 麻薬に関する法的・制度的知識
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麻薬に関するよくある質問
1. 病院・診療所での取り扱いについて
Q1
入院患者が麻薬内用剤を自己管理して服用することはできますか。
A麻薬の使用や疼痛状況について自ら記録ができ、自己管理ができると判断した入院患者については、レスキュー・ドーズや数日分の麻薬を自己管理し、施用することができます。その際には、服用状況等の記録をとる必要があります。また、患者が自己管理する麻薬を不注意で紛失等した場合は、麻薬事故届などを提出する必要はありませんが、その原因や今後の自己管理の可否についての確認が必要です。
Q2
病棟、手術室、集中治療室等で麻薬を定数保管できますか。
A緊急に麻薬を施用する部署では、注射剤、各種内用剤、坐剤、貼付剤を定数保管することができます。定数保管する麻薬は専用の保管庫を用い、施用した際には施設で取り決めた時間内に定数の確認、補充をしておく必要があります。
Q3
自己疾病治療のために麻薬を施用している患者が、海外に麻薬を持ち出すにはどのような手続きが必要ですか。
A各地方厚生(支)局麻薬取締部に連絡の上、申請書類を入手し、出入国の2週間前までに地方厚生(支)局長に申請書を提出して許可を受ければ患者自身が麻薬を携帯して出入国できます。ただし、この許可を受けても、郵送や知人などに託して麻薬を輸出入することはできません。渡航先によっては日本と異なる法規制が取られている場合がありますので、出発前に各国の大使館等に問い合わせください。
Q4
入院時に患者が麻薬を持参してきた場合、そしてそれを廃棄する場合はどのようにすればよいですか。
A麻薬帳簿に患者氏名と受け入れ麻薬の品名および数量を、残量に加えずに記載するとともに、麻薬施用者がその継続施用の可否を判断してください。持参麻薬を継続施用する際には、新たに麻薬処方せんを交付する必要はなく、麻薬帳簿に払出しの記録をつけ、診療録には施用状況を記載してください。持参麻薬を継続施用せずに廃棄する場合は、調剤済麻薬の廃棄の手順に従ってください。
2. 薬局での取り扱いについて
Q1
在庫不足のため当該麻薬を調剤できない場合、近隣の薬局から借りることはできますか。
Aあらかじめ管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部に必要書類を提出し、麻薬小売業者間譲渡許可を受けた場合は、当該不足分を近隣の麻薬小売業者間で譲渡・譲受することができます。
Q2
麻薬小売業者は麻薬卸売業者から郵送により麻薬を受け取ることはできますか。
A麻薬小売業者が麻薬卸売業者の業務所から遠隔地にある場合は、麻薬を書留便等の郵送により麻薬卸売業者から譲り受けることができます。ただし、遠隔地の範囲については各都道府県の薬務主管課の指示に従ってください。
Q3
患者の病状等により直接、麻薬を譲り受けることができない場合、患者を看護している看護師に渡すことはできますか。
A患者や患者家族等から依頼を受けた看護師、ホームヘルパー等にも麻薬を直接、譲り渡すことができ、手渡した時点で交付したことになります。その際、その看護師等が患者等から依頼を受けた者であることを確認してください。また、交付された麻薬を患者が指示どおりに服薬していることを患者または患者家族等に随時、確認してください。ただし、麻薬注射剤については、麻薬施用者から指示を受けた看護師に対してはアンプルのまま渡すことができますが、患者や患者家族、ホームヘルパー等には薬液を取り出せない構造で、注入速度の設定を変更できない状態で交付してください。
Q4
ファクスにより受けた処方せんで麻薬を調剤できますか。
Aファクスにより送信された麻薬処方せんの内容に基づき、調剤を開始することができます。後刻、正式な麻薬処方せんを受領し、内容を確認してから麻薬を交付してください。患者等が受け取りに来ない場合は、調剤前の麻薬として再利用できますが、再利用できない液剤等を廃棄する場合は、麻薬廃棄届を都道府県知事に提出してください。
3. 在宅医療での取り扱いについて
Q1
在宅で使用するために交付された麻薬充填済みの連続注入器の取り扱いや、患者への指導はどのようにしたらよいでしょうか。
A在宅で施用するために交付された麻薬注射剤は、患者等の責任のもとで取り扱うこととなります。そのため、人目につかないところに保管すること、他の物と間違って使用しないように扉の閉まる棚等に他の物と区別して保管すること、製剤の安定性を考慮して直射日光を避けて保管することなどを指導してください。また、患者宅で紛失や盗難にあった場合には、交付された麻薬診療施設または麻薬小売業者に届け出るよう指導するとともに、特に盗難の場合には、速やかに警察に通報するよう説明してください。使用済みまたは未使用で不要となった持続注入器は、交付された麻薬診療施設または麻薬小売業者に持参するよう指導してください。
Q2
在宅患者に対して調剤された麻薬は、当該患者の死後、どのように扱ったらよいでしょうか。
A飲み残しや不要となった麻薬は、交付を受けた麻薬診療施設または麻薬小売業者に持参するか、近くの麻薬診療施設、麻薬小売業者に持参するように指導してください。ご遺族等から麻薬を引き取った場合は、麻薬管理者または麻薬小売業者が、他の職員1名以上の立会いの下に回収が困難な方法で廃棄し、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」により都道府県知事へ届け出てください。
Q3
在宅で使用するために麻薬診療施設および麻薬小売業者より交付された麻薬充填済みの持続注入器が、麻薬診療施設および麻薬小売業者に持参された場合、どのように廃棄すればよいでしょうか。
A返却された持続注入器は使用の有無にかかわらず、施用残として取り扱ってください。その際、患者氏名、返却および廃棄の年月日、品名等を帳簿に記載する必要があります。もし、患者自身が廃棄したとの報告を受けた場合には、その旨を備考欄等に記載してください。
Q4
院外麻薬処方せんのみを交付している麻薬診療施設でも、麻薬保管庫を設置する必要がありますか。
A院外麻薬処方せんのみを交付し、麻薬を保管・施用する予定のない診療施設では、必ずしも麻薬保管庫を設置する必要はありません。このような場合、ご遺族等から麻薬を引き取った際は直ちに調剤済麻薬として廃棄してください。また、麻薬診療施設内で麻薬を施用する必要が生じた場合には、施設内に麻薬専用の保管庫を設置するようにしてください。(「(3)在宅医療での取り扱いについて」-Q2 参照)
4. 麻薬に関する問い合わせ先
Q1
麻薬に関する問い合わせ先や参考資料を教えてください。
A麻薬の取り扱い等で不明な点については、最寄りの保健所、各都道府県の薬務課もしくは地方厚生(支)局麻薬取締部にお問い合わせください。
 また、麻薬を取り扱う際には以下の資料を参考にしてください。
  • 「 病院・診療所における麻薬管理マニュアル」(平成18年12月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課)
  • 「 薬局における麻薬管理マニュアル」(平成18年12月/厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)
  • 「 麻薬・向精神薬・覚せい剤管理ハンドブック 第8版」(財団法人 日本公定書協会 監修/じほう)
  • 「 医療用麻薬適正使用ガイダンス―がん疼痛治療における医療用麻薬の使用と管理のガイダンス」(平成21年3月/厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課)
(佐野元彦、赤木 徹、細谷 治)

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