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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
5 麻薬に関する法的・制度的知識
 麻薬及び向精神薬取締法(以下、麻向法)は、麻薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、一方でその有益性を活用するため、施用等について定められた法律である。医療用麻薬であるモルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、コデインおよびケタミンなどが、麻薬として規制されている。
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麻薬の取り扱いに関する一般的事項
1. 麻薬免許証
 医療用麻薬を取り扱う者は、事前に免許を取得する必要がある。医療用として用いられる麻薬の免許には、「麻薬小売業者」、「麻薬施用者」、「麻薬管理者」などがある。いずれも所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。医師または歯科医師が同一都道府県内の2カ所以上の診療施設で麻薬を施用する場合には、主たる施設について麻薬施用者免許を取得する。また、同一都道府県内ではない診療施設で麻薬を施用する場合には、各々の都道府県で免許証を受けなければならない。(麻向法第2 条、第3 条)
2. 麻薬管理
 麻薬の管理は、麻薬の受払いを記録する帳簿を備え、麻薬の受払いを記録する必要がある。2名以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設では麻薬管理者を置き、麻薬管理者が麻薬の受払いの管理や帳簿への記録を行う必要がある。麻薬の保管には、鍵のかかる堅固な保管庫を使用する。麻薬保管庫には麻薬のほか、覚せい剤を一緒に保管することはできるが、それ以外の医薬品や帳簿等を保管することはできない。(麻向法第33条、第34条、第39条)
3. 麻薬の施用・交付
 麻薬施用者(医師・歯科医師)でなければ麻薬を施用できない。また、麻薬施用者でなければ、麻薬が記載された処方せんや施用のための麻薬を交付してはならない。ただし、麻薬施用者から施用のために交付を受けた麻薬を患者自身が施用する場合や、麻薬小売業者(保険薬局)から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた患者がその麻薬を施用する場合はこの限りではない。(麻向法第27条)
4. 麻薬の廃棄
 麻薬を廃棄する場合は、都道府県知事に麻薬廃棄届を提出し、麻薬取締員等の立会いのもとで処理される。ただし、麻薬処方せんにより調剤された麻薬は、麻薬管理者が麻薬診療施設の他の職員の立会いのもとで廃棄でき、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届を都道府県知事へ提出する。なお、施用残の廃棄については届け出る必要はないが、麻薬帳簿への記録は必要である。廃棄は焼却、酸・アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難かつ適切な方法で処理する。(麻向法第29条、第35条)
5. 麻薬管理における事故・盗難
 管理している麻薬に滅失、盗取、所在不明、その他の事故が起きた場合は、麻薬事故届に必要事項を記載し、速やかに都道府県知事に届け出る。また、麻薬の盗取にあった場合は、速やかに警察署にも届ける。ただし、医療事故(過量投与や誤薬等)は、管理上生じた事故とは異なるため、施設ごとに決められた対応となる。(麻向法第35条)

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