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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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2章 背景知識
4 薬理学的知識
1
オピオイド
2
国内で利用可能なオピオイドとその特徴
1. 製剤の特徴
 2009年10月現在、日本国内で利用可能なオピオイド製剤の一覧を表2に示す。
表2 国内で利用可能なオピオイドとその特徴
一般名 商品名 剤形・規格・濃度 投与経路
(適応内)
投与間隔 放出
機構
製剤としての
Tmax1(h)
(mean±SD)
製剤としての
半減期(h)
(mean±SD)
モルヒネ硫酸塩 カディアン® カプセル:
20mg・30mg・60mg
スティック粒:
30mg・60mg・120mg
経口 24時間毎 徐放性 7.3±0.8 9.2±0.9 pH 依存型の放出制御膜でコーティングされた直径1.0 〜1.7mmの徐放性顆粒がカプセルまたはスティックに充填されている。
ピーガード® 錠:
20mg・30mg・60mg・120mg
経口 24時間毎 徐放性 6.3±4.1 21.6±5.9 モルヒネ硫酸塩に、放出制御膜として水溶性微粒子を分散させた水不溶性高分子がコーティングされている。消化管内で水溶性微粒子が速やかに溶解して多数の細孔を形成し、pH非依存的に徐放性を示す。高脂肪食食後に投与するCmax2およびAUC3が減少、Tmax が遅延するが、食前60分投与であれば食事の影響は無視できるため、食間投与とされている。
MSコンチン® 錠:
10mg・30mg・60mg
経口 12時間毎 徐放性 2.7±0.8 2.58±0.85 高級アルコールをコーティングしたモルヒネ粒子を圧縮した構造で、これが腸管内の水分により徐々に溶解される。
MSツワイスロン® カプセル:
10mg・30mg・60mg
経口 12時間毎 徐放性 1.9±1.3 ND 直径0.6〜1mmの徐放性顆粒をカプセルに充填した製剤で、腸管内の水分により徐々に製剤中のモルヒネが溶解する。
モルペス® 細粒:
2%
(10mg/0.5g/包、バラ)
6%
(30mg/0.5g/包、バラ)
経口 12時間毎 徐放性 2.4〜2.8 6.9〜8.7 モルヒネを含む素粒子に徐放性皮膜をコーティングし、その上から甘味料をコーティングした構造で、直径約0.5mm の細粒である。経管投与可。
モルヒネ塩酸塩 モルヒネ塩酸塩
錠:
10mg
経口 4時間毎
(定期投与)、
1時間
(レスキュー・
ドーズ)
速放性 0.5〜1.3 2.0〜3.0 定期投与またはレスキュー・ドーズとして使用する。
オプソ® 内服液:
5mg/2.5mL/包
10mg/5mL/包
経口 4時間毎
(定期投与)、
1時間
(レスキュー・
ドーズ)
速放性 0.5±0.2 2.9±1.1 モルヒネ経口投与開始時の用量調節および用量調節後の疼痛治療に使用でき、また、オピオイド徐放性製剤投与中のレスキュー・ドーズとしても使用する。
パシーフ® カプセル:
30mg・60mg・120mg
経口 24時間毎 徐放性 速放部:
0.7〜0.9
徐放部:
8.4〜9.8
11.3〜
13.5
速放性細粒と徐放性細粒がカプセルに充填され、1日1回投与で投与後早期から24時間安定した鎮痛効果を維持できるように設計された製剤である。
アンペック® 坐剤:
10mg・20mg・30mg
直腸内 6〜12時間毎
2時間
(レスキュー・ドーズ)
1.3〜1.5 4.2〜6.0 吸収が速やかで、投与後約8時間まで有効血中濃度が保たれる
モルヒネ塩酸塩
アンペック®
プレペノン®
注:
(モルヒネ・アンペック®
10mg/1mL/A(1%)
50mg/5mL/A(1%)
200mg/5mL/A(4%)
(プレペノン®
50mg/5mL/ 本(1%)
100mg/10mL/本(1%)
(モルヒネ・
アンペック®
皮下
静脈内
硬膜外
くも膜下
(プレペノン®
皮下
静脈内
単回・持続 静脈内:
<0.5
静脈内:
2.0
プレペノン® はプレフィルドシリンジであり、注射剤調製や投与の簡便性・安全性を向上させた製剤である。輸液剤に配合して投与するか、シリンジポンプまたは携帯型ディスポーザブル注入ポンプを用いて投与する。
オキシコドン オキシコンチン® 錠:
5mg・10mg・20mg・
40mg
経口 12時間毎 徐放性 4.0±2.5 9.2±2.6 アクリル酸系高分子膜と高級アルコール膜の二重構造で、腸管内の水分が浸透し、オキシコドンが徐々に小腸内へ放出される。マトリックス基剤(抜け殻)が糞便中に排泄される場合があるが、成分はすでに吸収されているため、臨床上問題はない。
オキノーム® 散(0. 5 %):
2.5mg/0.5g/包
5mg/1g/包・
10mg/2g/包
経口 6時間毎
(定期投与)、
1時間毎
(レスキュー)
速放性 1.7〜1.9 4.5〜6.0 オキシコドン経口製剤を用いる際の用量調節や、突出痛へのレスキュー・ドーズとして使用する。
パビナール® 注:
(1A(1mL)あたり)
オキシコドン 8mg
ヒドロコタルニン 2mg
皮下 単回・持続 ND オキシコドン:
4.1±1.9
ヒドロコタルニン:
2.0±0.7
オキシコドン、ヒドロコタルニンを含有する複方オキシコドン注射剤である。
フェンタニル デュロテップ®MT 貼付剤:
2.1mg(12.5μg/h)・
4.2mg(25μg/h)・
8.4mg(50μg/h)・
12.6mg(75μg/h)・
16.8mg(100μg/h)
経皮 72時間毎 徐放性 30〜36 21〜23 マトリックスタイプの経皮吸収型製剤である。他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する。含量が異なる5製剤(2.1mg、4.2mg、8.4mg(50μg/h)、12.6mg(75 μ g/h)、16. 8mg(100μg/h))があり、単位面積あたりの放出速度はいずれも同一である。
フェンタニル 注:
0.1mg/2mL/A
0.25mg/5mL/A
0.5mg/10mL/A
静脈内
硬膜外
くも膜下
静・硬:
持続
くも膜下:
単回
静脈内:
投与直後
硬膜外:
<0.2~0.5
静脈内:
3.65±0.17
ペチジン オピスタン® 経口 8時間毎 速放性 2.0 3.5
オピスタン®
ペチロルファン®
注:
35mg/1mL/A
50mg/1mL/A
皮下
筋肉内
静脈内
3〜4時間毎 筋肉内:
約1.0
静脈内:
投与直後
筋肉内:
3.3
静脈内:
α;0.1,β;3.9
コデイン コデインコデインリン酸塩 散:
10mg/g(1%)
100mg/g(10%)
錠:
5mg・20mg
経口 4〜6時間毎
(定期投与)、
1時間毎
(レスキュー)
速放性 0.8±0.2 2.2±0.2 コデインは体内でモルヒネに代 謝されることにより鎮痛効果を発揮すると考えられている。
ジヒドロコデイン ジヒドロコデイン
リン酸塩

散:
10mg/g(1%)
100mg/g(10%)
経口 4〜6時間毎
(定期投与)、
1時間毎
(レスキュー)
速放性 1.6〜1.8 3.3〜3.7 コデインに比べて鎮痛作用はほぼ同等。
トラマドール トラマール® 注:
100mg/2mL/A
筋肉内 4〜5時間毎 0.5 ND
ブプレノルフィン レペタン® 坐剤:
0.2mg・0.4mg
直腸内 8〜12時間毎 1.0〜2.0 ND 麻薬拮抗性鎮痛薬4
注:
0.2mg/1mL/A
0.3mg/1.5mL/A
筋肉内 6〜8時間毎 < 0.08 2〜3
ペンタゾシン ソセゴン®
ペンタジン®
錠:
25mg
経口 3〜5時間毎 速放性 2.0 1.6〜3.2 麻薬拮抗性鎮痛薬
錠剤には、不適切な使用法を防止するために麻薬拮抗薬であるナロキソン塩酸塩が添加されている。
注:
15mg/1mL/A
30mg/1mL/A
皮下
筋肉内
3〜4時間毎 筋注:
0.2〜0.5
筋注:
1.3〜2.0
エプタゾシン セダペイン® 注:
15mg/1mL/A
皮下
筋肉内
単回 皮下・筋注:
0.4〜0.5
皮下・筋注:
1.7〜1.8
麻薬拮抗性鎮痛薬
ブトルファノール スタドール® 注:
1mg/1mL/A
2mg/1mL/A
筋肉内 5〜8時間毎 筋注:
約0.1
静脈内:
4〜5
麻薬拮抗性鎮痛薬
1:Tmax(maximum drug concentration time);最高血中濃度到達時間。薬物投与後、血中濃度が最大〔最高血中濃度(Cmax)〕に到達するまでの時間。
2:Cmax(maximum drug concentration);最高(最大)血中濃度。薬物投与後の血中濃度の最大値。
3:AUC(area under the drug concentration time curve);薬物血中濃度(時間)曲線下面積。薬物血中濃度を経時的に表した曲線グラフと時間軸(横軸)に囲まれた部分の面積。血中に取り込まれた薬の量(吸収率)の指標として用いる。
4:麻薬拮抗性鎮痛薬(mixed agonist-antagonist);オピオイド作動薬が存在しない状況では作動薬として作用するが、オピオイド作動薬の存在下ではその作用に拮抗する作用をもつ鎮痛薬。

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