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がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)

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発刊にあたって

 日本緩和医療学会は今年創立15周年を迎え、会員数も8,500名余となりました。この間、本学会は本邦における緩和医療学Palliative Medicineの専門性の確立と普及に微力ながら力を尽くしてきました。学会の果たすべき重要な役割の一つに、全国各地における質の高い緩和医療体制の整備があります。それを実現するために、学会として緩和医療に関する診療ガイドラインの作成および体系的なカリキュラムに基づく教育・研修を実施しています。すでに本学会緩和医療ガイドライン作成委員会の活動の成果として、「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」(2004年9月)が厚生科学研究班の協力を得て作成され、次いで、「終末期癌患者に対する輸液治療のガイドライン」(2006年10月)、「がん補完代替医療ガイドライン」(2008年10月)がそれぞれ学会会員向けの出版物として公表されました。がん緩和医療の最大の課題であるがん疼痛についての新たなガイドラインの作成作業は、この10年間にオピオイド鎮痛薬等の種類・剤型や投与方式が増えたこと、オピオイド以外の薬物療法や鎮痛対策が増えたことなどもあり、作成委員会の委員にとって大変な努力が必要となりました。
 今般、「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」(以下、がん疼痛ガイドライン)「苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン」(以下、鎮静ガイドライン)はこれらの経過をふまえて、緩和医療における標準的治療の普及と基本的な知識・技術の理解を深めることを目的に出版することとなりました。「がん疼痛ガイドライン」「鎮静ガイドライン」の作成にあたっては、医師、看護師、薬剤師をはじめ多職種が関わり、さらに臨床倫理や法律の専門家、ソーシャルワーク、臨床心理などの専門職、他学会の専門家も加わり、標準的なガイドライン作成方法を遵守し、学際的な共同作業を通じて作り上げることができました。ガイドライン作成に携わっていただいた多数の学会員の皆さん、そして、協力をいただいた専門家の方々にこころから感謝申し上げます。皆さんの協力なしには、この2つのガイドラインを出版までこぎ着けることはできなかったと思います。2007年4月から施行された「がん対策基本法」とそれに基づいて策定された国の「がん対策推進基本計画」は、患者中心の視点をその理念にすえたことで、本邦のがん医療に大きな変化をもたらそうとしています。全国各地でがん患者・家族の方々が安心して質の高い緩和医療を等しく享受できるようになるために、本ガイドラインを参考として活用していただければ幸いに思います。
 今後、本学会緩和医療ガイドライン作成委員会は、さらに各種の緩和医療に関するガイドライン作成を目指し、また、定期的な改訂作業にも努力する所存です。
 末筆ながら、短期間での出版にご努力いただいた金原出版の編集スタッフの方々にもこころから感謝いたします。

2010年5月

特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
理事長 江口研二


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