D-8
タイトル(日本語) 倫理の原則と人工的水分・栄養補給への看護師の態度
タイトル(英 語) Principle ?based ethics and nurse’s attitudes towards artificial feeding.
著者名 Day L, Drought T, Davis AJ
雑誌名,巻:頁 J Adv Nurs. 1995; 21: 295-298
目 的

看護師はどのような状況下において人工的水分・栄養補給を差し控える義務を感じるかを調査する。

研究デザイン 質的研究
エビデンスレベル Not applicable
治療環境・施設名 病院
対象患者

例数:80名(カリフォルニア州San Franciscoとアリゾナ州Tusconの癌患者を扱う1病棟と痴呆患者を扱う1病棟からそれぞれ20人ずつ)
年齢:不明 性別:不明
経験年数:記載なし。「経験は豊富であると上司より紹介」

介 入

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

人工的水分・栄養補給に関する2症例を挙げ、80人の看護師にインタビューを行った。

質的分析

結 果

癌患者ケア専門の40人の看護師の中で2人だけが、意識があり食べることを拒否しているがん患者に対して人工的水分・栄養補給を行うと答えた。その理由は、生命維持の援助をすることは基本的な原則であると考えたからであった。しかし、もし人工的水分・栄養補給が患者にとって負担となるようであれば中止すると答えた。残りの、人工的水分・栄養補給を行わないと答えた看護師38名からは、自律の原理から派生するとおもわれる、患者の拒否する権利を認めるという姿勢が認められた。

痴呆患者のケア専門の40人の看護師らの中で11人は人工的水分・栄養補給を行わないと答えた。その理由は患者の自律とQOL(Quality of Life)を尊重する為であった。29人(73%)が人工的水分・栄養補給を行うと答えた。その倫理判断の基になるものは、善行と生命の維持という概念であった。29人の中の2人からは法的問題を懸念してという理由も挙げられた。

結 論 本研究で調査対象であった看護師らはインタビューの過程で倫理の原則に見られるような言語は用いなかったが、かわりに看護の実践ではよく見られるような、患者の権利、主張、苦痛からの解放、または生命維持への援助といった言葉が多く見られた。看護師が人工的水分・栄養補給に対して抱いている考えは倫理学における義務論に基づくと考えられる。自律、無危害、善行原理は参加者に支持を得た原則である。また、看護師らは自らを、状況に応じて倫理的判断を行う代理人であると認識しているようであった。義務論でよく論じられるような用語を、病院内倫理委員会のような多種職医療チームで討論する際に用いることは有用であると考える。
コメント 本稿はほぼ10年前の論文であるが、臨床の看護師の抱く倫理観をよく表現できていると思われる。
作成者 坂本沙弥香、浅井 篤