D-11
タイトル(日本語) がん患者における栄養
タイトル(英 語) Nutrition in cancer patients.
著者名 Mercadante S
雑誌名,巻:頁 Support Care Cancer. 1996; 4: 10-20
目 的

研究デザイン 論説・提言
エビデンスレベル Not applicable
研究施設
対象患者

介 入

主要評価項目(定義)・
統計学的手法
結 果
結 論

 栄養はすべての社会で深い象徴性を獲得している。栄養の精神的・心理的な重要性に注意を向け、それらを十分に勘案して、栄養の概念を拡大しなくてはならない。
終末期患者医療において、死期の近い患者に対する栄養補給を考えるために重要な倫理原則には、生命の神聖性、自律性、恩恵、無害、そして正義がある。これらの原則の優先順位をそれぞれの状況に応じて考える必要がある。
 栄養補給に関するケアの計画を立てるためには、治癒よりも緩和を目指すことが大切である。
 不確実な予後と患者の治療に関する希望が不明なことが主な倫理的問題も原因となる。人工栄養は他の延命治療を異なり、基本的なケアと考えられてもよい。多くの国で看護師は、患者家族の栄養治療の要求を、死に対する不安と見なす。告知を行わない国では親族の存在が重要となる。
 人類学的には最後の食物提供は家族の患者に対する忠誠の表現である。家族の栄養投与の希望は、家族の心理的適応障害の徴候である。必須なことは、患者の状態を再評価しチーム間で意思疎通を行い、患者の栄養治療に関する十分な説明に基づいた希望を知ることである。
 経済的問題、患者の嗜好、家族のライフスタイル、食行動、食事の文化的・宗教的側面を勘案することも重要である。また、栄養治療を中断するか否かという問題が持ち上がると、関係者は非常に感情的になる。
 人々の様々な倫理的な立場や考え方から、非常に異なった結論が導かれる。しかし、もっとも強力な考察の根拠は患者の自己決定尊重であろう。栄養治療の開始・中止を検討する上でもっとも基本的なものは患者の希望である。患者のQOLの向上・維持に貢献しない栄養治療は行ってはならない。一旦始めると中止することが困難な栄養補給の決断をする前にこれらのことを勘案すべきである。
 患者に判断能力がない場合には、患者の事前の希望、それが不明なら患者の「最善の利益」に基づいて決定するべきである。医学的に効果のない治療を継続する義務はない。死が差し迫っている状況で、栄養治療が病状を悪化させている場合は、中止を考えるべきである。事前指示で患者の希望を示すこともできる。過剰な栄養治療は患者のQOLを悪化させる無益な治療である。患者の希望と必要性を考えるのが基本原則である。柔軟な個別的対応が有用である。

コメント 栄養治療の是非は様々な因子を勘案して決定しなくてはならないと論じているが、最も重要なことは患者の十分な説明に基づいた選好だと説いている。
作成者 浅井 篤