D-10
タイトル(日本語) 望まない人工的水分・栄養補給を差し控えるというがん患者への選択肢:倫理的考察
タイトル(英 語) An Oncology Patient’s Choice to Forego Nonvolitional Nutrition Support: Ethical Considerations.
著者名 Chapman G
雑誌名,巻:頁 Nutr Clin Pract. 1996; 11: 265-268
目 的

延命治療にもなり得る医療介入の差し控えを患者が決断することの倫理的側面を考察する。

研究デザイン 症例報告
エビデンスレベル Not applicable
治療環境・施設名 記載なし
対象患者

症例数:1

介 入

主要評価項目(定義)・
統計学的手法
結 果 症例は転移性カルチノイドを患った76歳の男性である。癌は膵臓、肝臓、眼窩後方へ転移していた。患者はすでに経口摂取が困難で、小腸閉塞を併発しており、空腸瘻よりの人工的水分・栄養補給も不可能であった。このような身体状態にあっても患者は終末期であると診断されず、医療スタッフから在宅中心静脈栄養(Home total Parenteral Nutrition: HPN)の期待しうる効果について入念に説明を受けた。患者は人工的水分・栄養補給(空腸瘻やHTPN)は過剰な治療であると考え、それらを全て拒否した。患者は自宅に退院し、家族と在宅ホスピスのケアによって、可能な範囲で経口摂取を行った。
結 論

本症例では、医療チームは患者に現在の病状を説明し、可能な選択肢を与え、さらにそれらについて助言したことでそれぞれの義務を果たした。患者は残された身体能力と精神的状況から、自身にとって最善であると考えられる選択肢を選んだ。患者の自律性は最優先されるべき倫理的原則である。本症例の患者の自己決定は、当初は医療スタッフにとっては受けいれ難いものであったが、最終的には正しく尊重された。

コメント 患者に与えられた選択肢が度重なる話し合いを経て患者に説明された点は参考にすべき点である。本症例では最終的には患者の意思決定が尊重されたのだが、その過程において患者は延命治療の拒否を一貫性を持って明確に指し示していた。
作成者 坂本沙弥香、浅井 篤