C-19
タイトル(日本語) 台湾における終末期がん患者の人工的栄養・水分補給施行の希望と影響要因
タイトル(英 語) Terminal Cancer Patients’ Wishes and Influencing Factors Toward the Provision of Artificial Nutrition and Hydration in Taiwan.
著者名 Chiu TY, Hu WY, Chuang RB, et al
雑誌名,巻:頁 J Pain Symptom Manage. 2004; 27: 206-214
目 的

終末期がん患者の人工的栄養・水分補給(ANHと略す)に対する希望を探索し、その実施希望に影響する因子を明らかにする。

研究デザイン 横断研究(質問紙調査)
エビデンスレベル not applicable
治療環境・施設名 国立台湾大学病院のホスピス・緩和ケア病棟
対象患者

例数:2000年8月〜2002年7月に入院した患者197名 
年齢:62.7±15.8歳 性別:男性51.8%
原疾患 :肺がん23.4%、肝がん12.2%、頭頸部がん11.7%、結腸・直腸がん7.6%
生命予後:記載なし 全身状態(PS、体重減少、悪液質など):記載なし
病態:入院判定委員会の審査で治癒的治療に反応しないと認められている。
他:調査前1ヶ月間にANHを施行 78.2%(静脈輸液71.1%、静脈栄養45.2%、経鼻胃管21.8%、胃ろう4.1%)

介 入

なし

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

構造化質問票(7名のパネルにより内容妥当性が検証され、10名の患者により表面妥当性が確認されている)に自記、または面接により回答する。

1)

ANHの知識: 7項目、正(1点) 誤/わからない(0点)

2)

ANHに関する態度:探索的因子分析の結果、2因子(有益性と負担)17項目を抽出。各項目5件法(1:強く非同意〜5:強く同意)で尋ねた。

3)

Health Locus of Control:Multidimensional Health Locus of Control scale (MHLC) を経験的に修飾して利用。探索的因子分析の結果、2因子12項目を抽出。各項目6件法(1:強く非同意〜6:強く同意)で尋ねた。

4)

1) 主観的規範(重要他者の意見への信頼、重要他者の意見に従う欲求):7項目、5件法(1:強く非影響〜5:強く影響)

5) ANH実施に関する希望:有/無
・各項目の回答割合算出、1)〜4)の平均値と標準偏差を算出。
・ANHの施行希望に影響する因子を明らかにするために、1)〜4)を独立変数、
希望を従属変数としたロジスティック回帰分析(変数減少法)を実施。
結 果

ANHを理解している 58.4% 

知識についての正答率の平均は24.4%

ANH施行希望に関連する可能性のある変数の得点(197名の平均を算出):
ANHへの信念:平均2.90±0.34(Range 1−5)
有益性の認識は 平均3.81±0.52(認識の得点の高い項目は、「飲食が不可能なときの身体の栄養や水分補給のニードを満たせる」「嘔吐や食欲不振のときに施行する必要がある」「脱水を防げる」)。
負担の認識は、平均2.38±0.45 →ANHに対する肯定的認識がうかがわれた。
Health Locus of Control:平均3.35±0.46(1−6)
主観的規範:平均3.62±0.81(1−5)
 *重要他者としては、医師3.70、看護師3.66があげられていた。

ANH施行希望は62.9%、希望しない23.9%、不明13.2%であった。

ANH施行希望者で、輸液(水分補給)を希望75.8%、栄養を希望91.1%

多変量解析結果:
過去1ヶ月間に経鼻胃管の使用経験があるほど(OR=11.11、95%CI=3.20-38.64、P<0.001)、同じく輸液の経験があるほど(OR=2.51、95%CI=1.22-5.15、P<0.05)、主観的規範があるほど(OR=1.30、95%CI=1.05−1.60、P<0.05)ANH施行を希望していた。一方、ANHの知識があるほど非経口的栄養施行を希望しないことが示唆された(OR=0.53、95%CI=0.34−0.84、P=0.005)。

結 論 台湾の終末期がん患者は人工的栄養・水分補給に関する知識が不十分であり、人工的栄養・水分補給が脱水や飢餓を回避するのに有益と信頼している。輸液と経鼻胃管の使用経験、医療スタッフの意見への信頼がANH施行への有意な影響要因であった。
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作成者 河 正子