C-15
タイトル(日本語) 終末期ケアにおける医師の延命治療を控える意思決定に影響する要因
タイトル(英 語) Factors affecting physicians’ decisions to forgo life-sustaining treatments in terminal care.
著者名 Hinkka H, Kosunen E, Metsanoja R, et al
雑誌名,巻:頁 J Med Ethics. 2002; 28:109-114
目 的

終末期ケアにおける生命維持治療の中止または抑制の意思決定についての多様性を調査し、意思決定に関連する医師の個人特性、人生経験、教育などの背景要因を明らかにする。

研究デザイン 横断研究(質問紙調査)
エビデンスレベル Not applicable
治療環境・施設名 フィンランドの医師への郵送調査
対象患者

例数:医師会登録医師1100名(外科300、内科専門医300、GP 500)腫瘍専門医82名に郵送し、
例数:729名(62%)が有効回答した。
有効回答者の年齢:平均45歳(外科・内科48、GP 42、腫瘍46)
女医:外科19%、内科33%、GP54%、腫瘍57%
診療科:外科24%、内科25%、GP43%、腫瘍7%
終末期ケアについての卒後教育施行:腫瘍77%、他11-32%

介 入

なし

主要評価項目(定義)・
統計学的手法
質問紙(12ページ):45名の医師へのパイロットスタディ、2週間隔で2度実施し信頼性を検証(κ係数0.4以上の仮想症例/質問を採択)

仮想症例:62歳の肺がん男性患者、呼吸不全により昨夜昏睡に陥った。重度の貧血、胸水貯留、発熱がある。輸液、経鼻胃管施行中

二つの条件設定:1.患者の家族があらゆる延命治療を希望している。2.患者本人の、回復の見込みのないときのあらゆる積極的治療を中止することを望む書面による事前指示がある。
各条件設定での各種治療の中止/抑制について5段階リッカートで回答

一定の道徳的、倫理的価値への態度、関連する問題についての意見:10cmVASで同意の程度を回答

5段階の回答を3段階に変換(中止/抑制しない、わからない、中止/抑制する)

3段階の回答割合と医師の背景:カイ二乗検定

仮想症例の2条件間で意思決定の相違:フリードマン検定

3段階の意思決定と態度に関する変数(VAS)との関連:クラスカル-ウォリス検定
結 果

輸液の中止/抑制 回答割合:診療科別有意差あり(各条件ともp<0.001)
条件なしでは29%(外科医の21%、内科医の23%、GPの31%、腫瘍医の60%)
条件1では18%(外科医の16%、内科医の16%、GPの17%、腫瘍医の34%)
条件2では56%(外科医の44%、内科医の53%、GPの60%、腫瘍医の81%)

女医は、条件1で輸液を中止しない傾向があった。(p=0.027)

年齢区分(<35, 35−49, 50+)では、若い医師が輸液を続ける傾向があった。(p=0.005 )

仮想症例で輸液を中止/抑制しない回答は、終末期ケアの卒後教育ありの医師で40%、なしの医師で25%(p<0.001)であった。

経鼻胃管の中止/抑制回答割合:診療科別有意差あり(各条件ともp<0.05)
条件なしでは54%(外科医の58%、内科医の55%、GPの49%、腫瘍医の70%)
条件1では43%(外科医の51%、内科医の45%、GPの35%、腫瘍医の56%)
条件2では74%(外科医の74%、内科医の74%、GPの71%、腫瘍医の89%)

結 論 延命治療(輸液以外を含む)を控える意思決定には、医師の個人的背景要因により変化が認められた。経験、専門家の助言、卒後教育などが治療を控える傾向に関連していた。終末期の意思決定の客観性を増すためには、教育、研究が重要である。
コメント 条件設定による変化が明確に示されている研究。輸液以外の延命治療についてを含んでいる。
作成者 河 正子