C-11
タイトル(日本語) 生命維持治療:医師の実践と、医師および高齢者の意向について
タイトル(英 語) Life-sustaining treatments: what doctors do, what they want for themselves and what elderly persons want.
著者名 Carmel S
雑誌名,巻:頁 Soc Sci Med. 1999; 49: 1401-1408
目 的

1)異なる病状の仮想例を設定し、生命維持治療に関する医師の実践と高齢者の意向を評価する。
2)高齢で転移を伴うがんという設定のもとで、生命維持治療に関する医師の実践と医師自身の意向とを比較すること。

研究デザイン 横断研究、質問紙調査
エビデンスレベル not applicable
治療環境・施設名 医師:イスラエル、南部の大規模病院(1100床)、北部の小規模病院(480床)の2施設
内科・外科・老人・オンコロジー、集中ケア、family medicine病棟の専門医および研修医。
高齢者:70歳以上のイスラエル居住ユダヤ人(ランダムサンプリング)
対象患者 1)医師339名:大規模病院 252名(回収率81.5%)、小規模病院 87名(回収率70%)
年齢:平均40.3±8.4歳(25〜65際) 性別:男性70.5%、39%がイスラエル生まれ、
専門医52%、一般内科医 49%、外科医32%、経験年数:平均14.5±8.5(1〜42年)
2)高齢者 987名 年齢:平均77.5±5.4歳(70〜101) 性別:女性 47.4%、
パートナー有:56%、13年以上の教育歴 22%、78.2%がヨーロッパあるいはアメリカうまれ。
介 入

なし

主要評価項目(定義)・
統計学的手法
高齢者に対して
1)仮想状態を以下3つに設定
<A>がんであることを知り、進行を認識している。状態は悪化しているが(転移あり)、一時的な改善の可能性はある。
<B>不可逆的な重篤な精神的障害(アルツハイマー病のような)である。
<C>身体的に不可逆的な状態で、寝たきりで失禁している状態である。
2)生命維持治療3種類:経管栄養、人工呼吸器、心肺蘇生(CPR)、非常に不自由で苦痛を伴うこともあること、施行後どの程度良好な状態になるかは予測困難であることを明示した上で3仮想症例ごとに、以下を尋ねる。→1:全く望まない〜5:強く望むの5段階で回答を求めた。
・飲み込むことができない状態で、経管栄養を望むか?
・呼吸をすることができない状態で、人工呼吸機の使用を望むか?
・心停止した場合、心肺蘇生を望むか?
医師に対して、上記仮想例の年齢を80歳として質問。
1)3種の生命維持治療の仮想実践−上記と同様の5段階で
2)仮想例Aの場合の自分自身の意向−上記と同様の5段階で
t検定
結 果 1)生命維持治療に関する医師の実践と高齢者の意向(仮想例ごと)
(1)高齢者は、3つの仮想例の違いに関係なく、経管栄養よりも心肺蘇生の実施を統計的に有意に希望している。(以下数字は、評価平均点±SD、 4および5点評価で希望するとした%)
A:栄養2.34±1.64、28%/CPR 2.47±1.70、32%、B:栄養2.11±1.56、 22%/CPR 2.19±1.60、25%、C:栄養2.17±1.56、23%/CPR 2.23±1.62、25%
(2)医師は、3つの仮想例全てで、心肺蘇生よりも経管栄養を統計的に有意に選択・指示している。
A:栄養3.40±1.56、54%/CPR 1.75±1.29、13.1%、 B:栄養4.15±1.19、74.6%/CPR 2.72±1.58、33.7%、C:栄養4.52±0.90、89%/CPR 3.34±1.59、51%
2)高齢で進行がんの仮想例での生命維持治療に関する医師の実践と、医師自身の意向
医師自身の生命維持治療に関する希望は、実践に比べて有意に低かった。実践、自分自身の希望ともに、一番希望の高かったのは経管栄養であった。
結 論 生命維持治療に関する医師の実践と高齢者の意向には違いがみられ、医師の実践と医師自身の意向においても違いがみられた。
コメント 一般的な人工栄養に関する理解度と医師の認識は異なっており、医師の認識により人工栄養の実施を決定しているという実状は日常的にあるものと推察される。イスラエルの研究ではあるが、日本にも当てはまる部分があるものと考える。
作成者 長谷川久巳