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タイトル(日本語)

末期がん患者と家族の輸液についての認識と意思決定

タイトル(英 語) Perception and decision-making on rehydration of terminally ill cancer patients and family members.
著者名 Morita T, Tsunoda J, Inoue S, et al
雑誌名,巻:頁 Am J Hosp Palliat Care. 1999; 16: 509-16
目 的

輸液に対する終末期がん患者及び家族の認識を明らかにし、輸液の意思決定に寄与する因子を抽出する。

研究デザイン コホート研究
エビデンスレベル not applicable
治療環境・施設名 聖隷三方原病院聖隷ホスピス:単施設
対象患者

例数:121 年齢:66±13歳 性別:男性54%、女性46%
原発部位:肺:24%、大腸:16%、胃:11%、肝臓:7%、乳房、膵臓:各6%、
原発部位:胆道系:5%、不明:4%、頚部、食道、卵巣:各3%、前立腺、子宮:各2.5%
生命予後:医師による臨床判断6ヶ月未満
全身状態:PPS10-20:62%、30-50:37%、60-:0.8%
病態:根治的抗がん治療はされていない、経口摂取不良となった患者である。体液貯留56%、
病態:疼痛/呼吸苦/嘔気の症状38%、腸閉塞16%
他:中心静脈ライン確保31%、末梢ライン確保困難24%
他:がんの診断を受けてホスピスへ入院するまでの期間の中央値300日、病気の否認19%、
他:意思決定能力:あり51%、不十分(せん妄、痴呆)49%
家族:119例(配偶者52%、子43%)

介 入

なし

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

患者、家族に意思決定能力がある場合、まず医師が病状および輸液の益と害を説明する。医学的見地からの推奨(一般状態がかなり良好で症状自制内の場合)、非推奨(患者のPS不良で、体液貯留著明または身体的苦痛強度の場合)をする。
その後、以下を評価。

輸液に対する患者及び家族の認識(医師による構造化面接)

医師の輸液推奨有無とその関連要因:多変量解析(ロジスティック回帰分析)

輸液施行の有無とその関連要因:単変量解析(χ2検定)および多変量解析(ロジスティック回帰分析 *患者の認識は例数が少ないため多変量解析に含めなかった)
体液貯留著明の定義:症候的胸水貯留、腹水貯留、または前腕/下腿の浮腫
否認の定義:身体的障害はないという本人の主張、または明らかな身体兆候の存在や本人への適切な説明にもかかわらず、その障害の重要性を過小評価していると見られる行動。

結 果
医学的見地から医師が輸液を推奨しなかった患者は78%(うち91%で輸液選択せず)、医師が輸液を推奨した患者は22%(うち81%で輸液選択)であった。最終的に輸液を選択しなかった患者は75%だった。

「輸液をしないと十分な栄養補給ができないと信じている」患者76%、家族85%

「輸液をしないと死期を早めると信じている」患者56%、家族84%
「輸液は苦痛症状を悪化させる」と回答した患者55%、家族57%

PPS10-20と体液貯留著明は、医師が輸液推奨しないことと関連していた。

PPS30以上、体液貯留が著明でないこと、否認、医師からの輸液推奨、患者・家族の「輸液で苦痛症状が悪化することはないという認識」および「輸液をしないと苦痛症状が悪化するという認識」、家族の「輸液をしないことでの不安の増加」が輸液施行の選択に関連していた。(単変量解析)

多変量解析の結果、患者の否認、医師からの輸液推奨、家族の「輸液は患者の苦痛を悪化させる」との認識が、輸液施行の独立した関連因子であることが明らかになった。

結 論

ホスピスケアを受ける患者への輸液施行の主要決定因子は、患者の否認、医師からの輸液推奨、家族の「輸液は患者の苦痛を悪化させる」との認識である。

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