C'-1
タイトル(日本語)

がん患者に対する人工的栄養における心理的側面

タイトル(英 語) Psychological Aspects of Artificial Feeding in Cancer Patients.
著者名 Peteet JR, Medeiros C, Slavin L, Walsh-Burke K
雑誌名,巻:頁 JPEN J Parenter Enteral Nutr. 1981; 5: 138-140
目 的

人工的栄養ががん患者に与える心理的影響を、3つの性格特性パターンごとに記述する。

研究デザイン 症例報告
エビデンスレベル V
治療環境・施設名 ボストンの病院 (Sidney Farber Cancer Institute)
対象患者

例数:4 年齢:22−68歳 性別:女性(3)、男性(1)

パターン1:意気消沈/抑うつ的な患者

症例1:

60歳主婦。転移性乳がん。化学療法中に経口摂取不良、全身衰弱。
がん診断時にマイナートランキライザーに対する依存歴あり。
病状進行に伴い、自己効力感喪失。家族が経口摂取不良を懸念したため、経鼻胃管による栄養を開始。チューブの自然抜去が繰り返しあり、常に注意するよう患者が家族に求めるようになった

パターン2:自立心が強い患者

症例2:

22歳独身女子歯科医学生。細網肉腫。
化療前放射線療法によりかなり体重減少。体重維持目的に高カロリー輸液施行。父親が食事についてとやかく言うから食欲がない、と化療後の輸液中止を拒否。父親との長い確執があることが明らかになった。

症例3:

68歳女性。転移性乳がん。帯状疱疹の痛みと易疲労性により身体の自由を奪われていた。
経管栄養をかたくなに拒否し希死念慮を表出した。精神科医がかかわり、援助されることを受容できないことが判明した。

パターン3:人工的栄養/体重減少に対し過度に厳格な態度である患者

症例4:

42歳管理職男性。脳転移を伴う腎細胞がん。化学療法と放射線療法の効果なく、見当識障害と脱水症状のため来院。極端な健康崇拝者である。
患者の意識低下が進んでも、妻は経口摂取にこだわり続け、栄養状態低下に対するフラストレーションを医療スタッフにぶつけた。経管栄養の開始により安心したものの、妻は引き続き夫に食べさせようと必死になった。

介 入

患者特性に応じたアプローチ

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

なし

結 果
症例1:

医療チームが患者に、抑うつと1人になることへの恐怖があることを指摘すると、リラックスし栄養管理に責任をもつようになった。

症例2:

精神科医が自立心の再構築を促し、医療チームが父親の不安の軽減に努めたことから、人工的栄養を減量し経口摂取を再開できた。

症例3:

ケア計画に患者の意見を取り入れ、身体的な自立を促進した場合に摂食状況と気分が改善することを発見した。経管栄養なしで自宅退院した。

症例4:

妻の食事へのこだわりは夫の死の訪れを受容できないことの反映だった。ソーシャルワーカーの支援により、少しずつ夫の死を迎える準備ができた。

結 論

患者の特性を理解して対応することが患者・家族の協力とQOLの向上に結びつく可能性がある。アプローチの基本として以下が示唆される。
1)患者と家族にとっての食べることと人工的栄養の意味を理解すること
2)明らかな情緒的葛藤について、可能な場合は直接言及すること
3)患者の特定のニーズを理解してアプローチすること
4)ケアへの患者の全面的な参加を促すこと

コメント 経管栄養の開始や管理上で生じる問題について、特に「食べることの意味」「経管栄養」をめぐる心理的要因が影響する場合、その傾向と対策について述べた論文
作成者 栗原幸江