B'-7
タイトル(日本語)

肺がん、結腸がん患者における安静時エネルギー消費量

タイトル(英 語) Resting energy expenditure in lung and colon cancer.
著者名 Nixon DW, Kutner M, Heymsfield S, et al
雑誌名,巻:頁 Metabolism. 1988; 37: 1059-1064
目 的

結腸がん、非小細胞肺がん患者における安静時エネルギー消費量を測定し、健常ボランティア、神経性食思不振症患者、良性消化器病患者、様々な原因による体重減少患者、慢性肺疾患患者のそれと比較検討する。

研究デザイン 分析疫学的研究
エビデンスレベル IV
治療環境・施設名 エモリー大学関連機関(Emory Human Calorimetry Laboratory)のがん専門外来と病棟
対象患者

例数・年齢・性別・原疾患:
がん患者群:結腸がん男性:30例(58±8歳)、女性15例(59±16歳)
肺がん男性27例(58±9歳)女性11例(57±9歳)
対照群:健常群:男性16例(52.5±9.4歳)、女性42例(50.5±7.7歳)
対照群:神経性食欲不振症患者女性5例(26.4±7.2歳)、
対照群:良性消化器病患者男性8例(46.3±17.2)女性(48.7±16.5)、
対照群:様々な原因による体重減少患者男性9例(56.2±9.9)女性10例(52.9±8.6)、
対照群:慢性肺疾患患者男性5例(62.7±11.6)女性3例(60.3±8.1)
生命予後:予後因子(PS、体重減少、悪液質など)
病態(消化管閉塞、悪液質など):嚥下障害なし、21日以内の手術施行なし、明らかな急性・慢性疾患の合併なし、アルコール・薬物依存なし

介 入 なし
主要評価項目(定義)・
統計学的手法

安静時エネルギー消費量(間接熱量測定法)、Body Cell Mass: BCM(K40による分析)、体脂肪量(身体計測法)、身体的活動度、栄養状態(身長、体重および経口摂取量)
肉腫のデータは男性のcontrol 群と比較検討
Wilcoxon順位和検定を施行

結 果

肉腫患者群での%体脂肪量はコントロール群と差がなかったが、%BCM(BCM/体重)はほぼ20%低下していた。

腫瘍の大きさと、REEおよびBCMには相関は無かった。

肉腫患者群の体表面積で補正した安静時エネルギー消費量は、コントロール群に比べて25%増加していた。また、BCMで補正した場合43%以上の増加を示した。
安静時エネルギー消費量/体表面積比と%BCMに負の相関関係が認められたが、コントロール群では認められなかった。
結 論

肉腫の患者では、悪液質状態が顕在化する前に、安静時エネルギー消費量が増加することが判明した。この事実は、肉腫組織自体が、宿主のエネルギー代謝を変化させ、その結果、身体成分が変わることを示す有力な証拠である。

コメント がん悪液質では種々の代謝障害を伴っていることはよく知られているが、その起点となる原因は明らかではない。食欲不振による栄養障害が代謝障害を引き起こすとの報告もある。しかし、筆者はこの代謝障害が悪液質のない時点ですでに認められていることを指摘し、腫瘍そのものが代謝障害を引き起こしている可能性を示唆している。
作成者 池永昌之