A-32
タイトル(日本語) 終末期がん患者への輸液療法による満足度:概念構築、尺度開発、寄与因子の同定
タイトル(英 語) Fluid status of terminally ill cancer patients with intestinal obstruction: an exploratory observational study.
著者名 Morita T, Tei Y, Inoue S, et al
雑誌名,巻:頁 Support Care Cancer. 2002; 10: 474-479
目 的 腸管閉塞を伴った終末期がん患者の生理学的な体液量の変化を血管内体液量の指標であるPRA,BNPを用いて探索する。
研究デザイン Case series
エビデンスレベル V
治療環境・施設名 緩和ケア病棟、聖隷三方原病院、日本
対象患者

例数:9例 年齢:68±9(50-75)歳
原疾患:肝以外の腹部原発のがん患者。
全身状態:推定予後が6ヶ月以内。
病態:不可逆的な腸管閉塞で経口摂取が低下し、放射線学的に腸管閉塞が確認されている。
治療環境:入院。

介 入

体液貯留がない場合は原則的に輸液を500-1,000mL/日で行い、貯留を認める場合は、患者の希望に応じて対応した。

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

血清PRA、BNP、BUN、Cr、Na、K、Alb、血漿浸透圧、評価日から死亡日までの日数、補液量、経口摂取量、嘔吐・体液貯留症状・浮腫の有無、死亡48時間前の死前喘鳴の有無を記録した。
輸液を行った患者の経過中2回のPRA,BNPの変化をWilcoxon検定で評価した

結 果

輸液を行った7名中浮腫、腹水、胸水は5、3、5名で悪化した。

PRAは3.5から11.0ng/mL/hに、BNPは52から22pg/mLに有意差をもって変化した。BUN、Cr、Na、K、浸透圧には有意な変化がなかった。
結 論 腸管閉塞を合併して体液貯留を伴った終末期がん患者では、PRAが増加しBPNが減少したことから、循環血液が間質に移動して体液貯留兆候が悪化する可能性が示唆された。
コメント PRAおよびBMPが臨死期の脱水の状態を鋭敏に反映する指標として有用であることを示し、臨死期に多く観察される血管内脱水に対して輸液療法は必ずしも有効でなく体液貯留を悪化させる危険性があることを示唆した論文である。
作成者 小原弘之