A-19
タイトル(日本語) 婦人科悪性腫瘍によって生じた回復不能な消化管閉塞を伴う患者に対する完全静脈栄養の役割
タイトル(英 語) The Role of Total Parenteral Nutrition for Patients with Irreversible Bowel Obstruction Secondary to Gynecological Malignancy.
著者名 Philip J, Depczynski B
雑誌名,巻:頁 J Pain Symptom Manage. 1997; 13:104-111
目 的 婦人科悪性腫瘍によって生じた消化管閉塞を伴う患者に対する完全静脈栄養の役割について、2例を通じて考察する。
研究デザイン 症例報告
エビデンスレベル V
研究施設 Department of Palliative Care, Alfred Hospital, Australia
対象患者

例数:2例

介 入 完全静脈栄養
主要評価項目(定義)・
統計学的手法
完全静脈栄養に伴う臨床症状、合併症について、医師が評価する。
結 果

症例1:26歳女性、卵巣癌術後、化学療法後、PS0 。
消化管閉塞(癒着、再発)による3回の開腹手術例あり。再手術適応なく、QOLや予後の改善を目的に完全静脈栄養(内容記載なし)を開始した。消化管皮膚瘻が出現し、嘔吐や疼痛が増強した。オクトレオチドを始めとした薬剤による症状緩和効果は乏しく、一方、輸液量の減少(記載なし)により嘔吐は軽減した。患者は完全静脈栄養を継続することを希望した。完全静脈栄養開始後は外を出歩くことが可能であった。死亡前3週間は症状コントロールに難渋したが、本人、家族の同意のもとに完全静脈栄養を中止し在宅移行し、8日後に死亡した。

症例2:57歳女性、卵巣癌術後。PS4。静脈血栓症、敗血症の既往あり。消化管閉塞を合併したが、頻回の手術既往があり、開腹所見と短腸症候群のリスクから手術不可能と判断され、家に帰るために患者は完全静脈栄養を希望した。開始後、腹部膨満感、疼痛、嘔吐などの症状が増強し、PSの改善は得られなかった。患者は完全静脈栄養の中止を拒否し、入院のまま肺炎を合併し死亡した

結 論 消化管閉塞を伴う終末期癌患者に対するTPNの適応はPSが良好な場合に限られ、その場合でも臨床症状や合併症、倫理面などへの十分な配慮が重要である。
コメント 2事例を通して、消化管閉塞を伴う終末期癌患者に対するTPN施行上の問題点(継続の意義、中止の決定など)が具体的に示されている
作成者 中島信久