A-10
タイトル(日本語) 終末期患者に対する緩和ケア:栄養と水分補給の適切な使用
タイトル(英 語)

Comfort Care for Terminally Ill Patients.
The Appropriate Use of Nutrition and Hydration.

著者名 McCann RM, Hall WJ, Groth-Juncker A
雑誌名,巻:頁 JAMA. 1994; 272: 1263-6
目 的 終末期患者に、1)空腹感とのどの渇きがどれくらいの頻度で生じるか、2)人工栄養・水分補給をおこなわずに症状緩和がえられるかを明らかにする。
研究デザイン 記述的研究
エビデンスレベル V
研究施設 St. John's Home, University of Rochester School of Medicine and Dentistry, USA
対象患者

例数:32例 年齢:平均74.7(44-92)歳
原疾患:乳がん31%、肺がん28%、大腸がん22%、前立腺がん9%、他の癌6%、脳卒中3%
全身状態:予測される生命予後が3ヶ月以下
病態:意識清明で意思表示が可能な癌か脳卒中の患者
治療環境:緩和ケア病棟

介 入 多職種チームによる緩和ケア:患者の好みに応じた食事、口腔ケア、氷片を口に含む、人工的栄養・水分補給は行わない。
主要評価項目(定義)・
統計学的手法

空腹感(なし・あり)、のどの渇き(なし・あり)、全般的安楽さ(comfort)を1日に数回5−6回多職種チームが患者に尋ねた。

「のどの渇き」は、「口渇」と「のどの渇き」がともに存在することと定義した。

全般的安楽さは、疼痛、呼吸困難感、嘔気、恐怖、不安などに対する治療効果をnumerical rating scale(0-10)で患者・家族にきいた結果をチームで検討して決定した。判断の不一致は投票で解決した。「安楽」:苦痛がチーム診療で緩和されたこと、「やや不快」:部分的にしか緩和されなかったこと、「不快」:苦痛が緩和されなかったこと、と定義した。
結 果

水分と食事摂取量は1名を除き25%以下に減少した。空腹感は63%の患者は経過中感じなかった。34%は入院初期25%以下の期間感じ、8名は水分と固形物を、3名は水分のみ経口摂取した。3%(1名)が入院時から死亡時まで断続的に感じ、水分と固形物を経口摂取する事で満足していた。少量の経口摂取をした後で空腹感が続いた例はなく、全例が空腹感を異常(unusual)と感じていなかった。

のどの渇きは、34%患者は感じず、28%が入院初期25%以下の期間感じ、38%が入院時から死亡時まで断続的に感じていた。のどの渇きは、全例で、少量の経口摂取、口腔ケア、氷片によって、数時間緩和した。

全般的快適さは、84%が安楽、13%がやや不快、3%が評価不能であった。
結 論 終末期患者は少量の経口摂取だけでも空腹感は感じない。のどの渇きは口腔ケアや氷片で改善する。患者が希望しないのならば、人工的な栄養・水分の補給は安楽さの改善にはほとんど貢献しない。
コメント 輸液を用いた対照群がない。
作成者 林 章敏