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タイトル(日本語) 腹部原発の終末期がん患者の症状と輸液量の関係
タイトル(英 語) Association between hydration volume and symptoms in terminally ill cancer patients with abdominal malignancies.
著者名 Morita T, Hyodo I, Yoshimi T, et al
雑誌名,巻:頁 Ann Oncol. 2004; 6: 370-374
目 的

腹部原発の終末期がん患者の輸液量と症状の相関を探索する。

研究デザイン コホート研究
エビデンスレベル IV
治療環境・施設名 がん治療病院14施設、緩和ケア病棟19施設、在宅ケア4施設、日本
対象患者

例数:226例 年齢:67±13 vs 68±11歳(輸液群vs非輸液群)
原疾患:胃33%、大腸21%、膵15%、直腸14%、胆管5%、卵巣4%。
全身状態:PS≧2; 29% vs 19%、PS=3; 37% vs 42%、PS=4; 42% vs 40%。
病態:消化管閉塞64% vs 46%、500mL/日以下の水分摂取の割合80% vs 42%
治療環境:入院

介 入

なし

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

医師と看護師が、脱水(3ヶ所の理学所見に基づく得点)、腹水、胸水(「なし」から「症状あり」の3段階)、浮腫(7ヶ所の理学所見に基づく得点)、気道分泌(Backの重症度4段階)、せん妄(Communication Capacity Scale, Agitation Distress Scale, MDASに基づく得点)、ミオクローヌス(有無)、褥創(有無)を評価した。

死亡3週・1週前の輸液量1L/日以上を輸液群、1L/日未満を非輸液群とした(輸液群59例、非輸液群167例)。輸液群・非輸液群の各症状の重症度を比較した。

結 果

死亡前3週間の脱水の得点は、非輸液群で輸液群より有意に悪化したが、いずれの群でも経時的に悪化した。

浮腫、腹水、胸水の悪化の割合は、輸液群の方が非輸液群に比べて有意に高かった。

過活動型せん妄、ミオクローヌス、褥創の頻度に有意差はなかった。

結 論 1000mL/日以上の輸液は、脱水所見を改善させるが、浮腫、腹水、胸水を悪化させた。
コメント 輸液療法は、がん終末期の脱水を改善する効果と体液過剰症状を悪化させる危険を同時に合わせ持っている治療法である。患者自身の輸液の直接的な効果を評価する必要があり、個別性の高い輸液治療と脱水の継続的な評価が重要である。
作成者 小原弘之