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タイトル(日本語) 終末期がん患者の症状に対する医師、看護師の自己記入による輸液療法の効果
タイトル(英 語) Physician-and nurse-reported effects of intravenous hydration therapy on symptoms of terminally ill patients with cancer.
著者名 Morita T, Shima Y, Miyashita M, et al
雑誌名,巻:頁 J Palliat Med. 2004; 7: 683-693
目 的

医師および看護師が終末期がん患者に対して行った輸液療法に関する経験を明らかにする。

研究デザイン 横断研究
エビデンスレベル Not applicable
治療環境・施設名 24がんセンター、55緩和ケア病棟、4一般病棟、日本
対象患者

例数:医師501名、看護師3328名 年齢:医師43±8.4、看護師33±8.7歳
施設:医師;がん治療病院34%、一般病院49%、ホスピス18%、看護師;がん治療病院47%、
施設:一般病院35%、ホスピス18%
臨床経験:医師;17±8.1年、看護師;11±8.6年
専門診療科(医師)外科42%、消化器科18%、内科/血液/腫瘍科15%、緩和医療12%、呼吸器科9.4%、放射線科3.4%

介 入

なし。

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

悪液質を合併した肺がん、消化管閉塞を併発した胃がんで予後1ヶ月と推測される患者に0.5-1,1.5-2L/日の輸液の実施、輸液減量の実施経験、治療に伴う症状(口渇、浮腫、腹水、気道分泌、呼吸困難感、倦怠感、意識)変化の経験について尋ねた。

結 果

0.5-1、1.5-2L/日の輸液でのどの渇き、倦怠感、意識レベル低下の脱水症状が改善することをしばしば経験すると回答した医療者は30%未満であった。

肺がん症例で0.5-1L/日の輸液で浮腫、胸水、気道分泌、呼吸困難の体液貯留症状がしばしば悪化すると回答したのは、腫瘍医5.8-13%、その他の職種20-50%であった。胃がん症例で1.5-21L/日の輸液で体液貯留症状がしばしば悪化するとしたのは、腫瘍医9.3-24%、その他の職種16-68%であった。

輸液量の減量で体液過剰症状が改善することをしばしば経験すると回答した緩和ケア医と看護師は20-70%であった。のどの渇き、倦怠感、意識レベル低下が悪化すると回答したのは全職種で7%未満であった。
結 論

がん治療および緩和ケアの医師、看護師ともに終末期がん患者に行う輸液で体液過剰症状がしばしば悪化することを経験していた。輸液療法をルーチンとして行うことは推奨されず、個々の患者を包括的に評価して治療を行うことが必要である。

コメント 今回の結果は、終末期がん患者の輸液療法似伴う症状変化の経験を同じ質問紙を用いて、がん治療および緩和医療に携わる医師、看護師を対象に全国レベルで調査したものである。医療者による代理評価であるが、多くの医療者は輸液に伴う体液過剰症状の悪化を経験していたことが明らかになった。
作成者 小原弘之