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タイトル(日本語) 終末期がん患者の気道分泌の発生率と病態
タイトル(英 語) Incidence and underlying etiologies of bronchial secretion in terminally ill cancer patients: a multicenter, prospective, observational study.
著者名 Morita T, Hyodo I, Yoshimi T, et al
雑誌名,巻:頁 J Pain Symptom Manage. 2004; 27: 533-539
目 的

終末期がん患者の気道分泌の発生率と病態を明らかにする。

研究デザイン コホート研究
エビデンスレベル IV
治療環境・施設名 がん治療病院14施設、緩和ケア病棟19施設、在宅ケア4施設(日本)
対象患者

例数:310例 年齢:68±12歳 性別:男性155例、女性155例
原疾患:肺27%、胃16%、大腸15%、膵11%、直腸10%、胆管4%、その他9%
全身状態:推定予後が3ヶ月以内。
病態:肝硬変、腎不全、ネフローゼ、蛋白漏出性腸炎、腹水治療でのシャント造設、高Ca血症、
病態:内分泌疾患を除外。嚥下障害9%。
治療環境:入院、在宅。

介 入

死亡24時間前の輸液量 中央値700mL/日

主要評価項目(定義)・
統計学的手法

医師・看護師が、気道分泌の重症度(Backの分類で4段階)、口腔・経鼻吸引の回数(4段階)と苦痛(3段階)、浮腫の程度(7カ所の浮腫の厚さを0-3の4段階で点数化し合計)、胸水の重症度(理学所見、症状の有無で3段階)を記載した。
気道分泌の有無によって群分けして、因子の頻度を比較した。

結 果

気道分泌の発生率41%(重症4.5%)、口腔・経鼻吸引が必要なのは9%であった。

気道分泌の発生は、原発性肺がん、肺炎、嚥下障害の有無と有意に相関し、浮腫の程度や胸水の重症度とは相関しなかった。

結 論

終末期がん患者の約40%が気道分泌を呈し、5-7%は重度であった。
原発性肺がん、肺炎、嚥下障害が気道分泌と有意に関連する病態であった。
気道分泌は、喀痰喀出困難が主体で薬剤が効果的と考えられるtypeIと、気道系分泌物増加が主体で薬物の効果が不十分と考えられるtypeIIに分けて、治療を考えることが有用である。

コメント 中央値700mL/日程度の輸液を受けている患者においては、臨死期のがん患者にみられる気道分泌症状は、輸液量ではなく、肺癌、肺炎、嚥下障害との関連性が高いことを示唆した。病態モデルから原因に応じた気道分泌の緩和治療の有用性を提唱した論文である。
作成者 小原弘之